備前島 12月に急増した売れ行きもあって、2011年2月に発表された「本屋大賞」では10位以内にノミネートされました。小学館の文芸書籍で、私が担当した『のぼうの城』『神様のカルテ』と、「本屋大賞」は2年連続2位。今回は是非1位を…と感じていました。

小松既存の文学賞はその賞の選考委員が選びますが、「本屋大賞」は書店員のみなさんが自分たちの売りたい本を選ぶもの。だから受賞すれば、より多くの読者に手にとってもらえますからね。

備前島 3月に100万部を突破し、4月に「本屋大賞」1位を受賞。その後の新聞広告では、『謎解きはディナーのあとで』だけでなく、『のぼうの城』『神様のカルテ』と過去2年間のノミネート作品も同時に紹介しています。ベテランの作家だけでなく、これから伸びる作家を後押ししてきた小学館の総合力を伝えたいと思ったのです。

矢沢そして九州、大阪、名古屋と、首都圏外の書店を先生が訪問して。

備前島 「本屋大賞」で新たな読者をつかむチャンスをいただき、各地域での読者拡大を考えたのです。CMでは毒舌執事に加え、女性の人気声優の竹達彩奈さんにお嬢様刑事を担当してもらい、男性ファンへの拡大も狙っています。

小松最近では2011年8月にテレビドラマ化が具体的になって、また一気に読者が拡がりましたね。

備前島実は映像化の話は、出版直後にこちらから動いていました。小学館の映像部門にも参加してもらって話を進めたおかげで、「本屋大賞」受賞後すぐに発表できました。受賞後に映像化を進めていると、来年の制作発表になって旬を逃すと思います。

備前島個人的な感覚ですが、小説がファン層から自然に拡大して売れるのは、数十万部までと感じています。何か売れるきっかけをつくることが、今は大事なのです。この『謎解きはディナーのあとで』は面白く、しっかりした内容でしたが、売るための素材も多い本でした。すべてが同じやり方でいけるとは思いませんが、宣伝、販売、書店、編集までが一体になって協力したことで、今後の参考事例にもなれると考えています。

本屋大賞受賞後の書店向けのPOP。

東川先生直筆のPOPも制作された。

100万部突破と本屋大賞受賞をアピールする交通広告。

テレビでの紹介を書店に知らせる手書きFAX。日頃の応援にも感謝が述べられている。

『謎解きはディナーのあとで』本屋大賞受賞記念の新聞広告。「のぼうの城」「神様のカルテ」も同時に紹介して、小学館の総合力やこれまでの実績をアピール。