STEP3 構成と校正図鑑『NEO』は創刊から11年、今も進化中。

■時代に合った編集は、体験感覚を誌面に

「撮影環境の整備を行ったことも、新しい試みでした。耕作放棄地を4年間借り、水を張って、そこに来る生き物を撮影したんです。寒い時期に開墾を始め、草が生えるのを待って撮影に出かけました。

収穫を目的とした田んぼを長期間借りての撮影だと、農家の方にご迷惑をかけてしまいますが、撮影を目的とした土地を使わせていただいたお陰で、気兼ねなく写真を撮れましたね。何より開墾なども含めて、私たちも楽しく取り組みました。こういう、編集者自身が面白いと感じてその熱気を込める本は、子どもたちにも伝わると思うんです」。

正しくてわかりやすくて、読んで面白い。そして丁寧に撮られ、描かれた数々の写真やイラスト。それらが美しく印刷できる紙選びも慎重に行ったという。だが図鑑『NEO』が売れている要因はそれ以外にもある。

「正確な記述も美しさも大切。でも、それだけではなく、興味のない項目も読もうと思える、入口づくりにもこだわっています。今の子どもたちが「本当に面白い」と感じる誌面になるよう、『NEO』では誌面構成も変えました。それ以前の図鑑には少なかった“やってみよう”“探してみよう”という体験型の記事・コラムを増やしたこともそのひとつです。これも実際に編集者が体験して、面白いと感じたことを多く載せています」。

“ザリガニ釣りやトカゲ釣りに挑戦”といった行動派向けから、“やどかりを見分けよう”といった観察派向けなど、内容はさまざま。また「CD鳴き声図鑑カエルとヤモリ」「海底探検すごろくのページ」といった楽しめる特別企画も増やしている。

一方で誌面のわかりやすさ、使い勝手のよさにも配慮され、写真や画像の紹介文は名前(大きな太字)+解説(やや太字)+詳細データ(小さめの字でマーク付き)と全ての巻で見せ方を統一。視覚的にも重要度がすぐわかり、興味に合わせて読める工夫がされているのだ。

「もうひとつ大事なことは、『NEO』に載っている内容を信じたがために、病気やけがをさせることがあってはならないと思っています。ですから毒のある生物には危険マークで注意を促す、火を使う実験では“大人と一緒に”と注意書きを入れるなど、読者の信頼や安心のブランドを裏切らないよう気をつけています」。

記述内容のチェックも随時行っている。新知見の更新などは、監修者と相談のうえ決める。

■いつも新しいNEOブランドのために

2002年に創刊された『NEO』は、10周年にあたる2012年には累計発行部数が535万部、重版が多いものは20刷にもなっている。

「図鑑の出版後も世の中は変わり続けます。「はやぶさ」が小惑星のかけらを地球に持ち帰り、日本人の宇宙飛行士も増えました。恐竜など太古の生物でも、新種の化石が次々に出てきます。図鑑は時期を見てアップデートしていかないと、たちまち古さが目立ってしまうんです」。

新しい情報を取りこぼさないよう、これまでに刊行したすべての『NEO』の執筆者、監修者と連絡を取り続けている。

「創刊以来、おつき合いしている先生方はもう100人を超えました。みなさんに手書きで季節の挨拶状を出していますが、最近はFacebookやTwitterでも連絡が取れるので、やり取りする頻度が増えましたね」。

ここ数年、各社が発売する学習図鑑は急増している。以前から学習図鑑を出していた出版社以外にも新規参入が相次いだからだ。

「今は小学館が売り上げNo.1ですが、このトップの位置に安住しないで、もっと挑戦したいと思っています。

休耕地を4年間借り、耕して水を入れて、水生生物などの撮影地として用意。撮影以外にも、さまざまなイベントなどで利用された。

大きな写真や図版、それを紹介する見出しと文章の組み合わせが基本の誌面構成。生物系の図鑑は個体の写真が多く掲載され、この『星と星座』では星の見方を紹介するために星座を大きく扱ったページが多くなっている。

COLUMN■広がるNEOブランド年齢や目的で選べるNEOシリーズでブランド強化。

「NEOは、“ちゃんとつくられた、信頼できる図鑑”というブランドイメージを確立できたのではないかと思います」(北川)。

そうしたイメージのもとで、さまざまなNEOブランド書籍を展開している。

「編集部としては、図鑑『NEO』を基本にして、編集者それぞれが面白いと思う本を企画している感じです」。

以下にそうしたNEOブランド書籍を紹介する。広がりを実感していただきたい。

○『NEO POCKET』/新書変型判の大きさで、野外観察向け。写真やイラストは多くを図鑑『NEO』から使用しているが、内容はリニューアル。使われている紙は、軽いのに破れにくく、丸めても丈夫など、持ち歩きに便利な仕様にしている。

○NEO+(プラス)『くらべる図鑑』『もっとくらべる図鑑』『もっとくらべる図鑑クイズブック』/「実際にくらべたらこうなった」が、見てわかる図鑑として合計100万部を超える大ヒット。

○こども図鑑プレNEO『げんきの図鑑』『せいかつの図鑑』/身近な暮らしから学ぶ体験学習に利用されて、こちらも合計100万部超のヒット。幼児向けに、おやこ図鑑プチNEO『からだあそび』なども刊行。

○この他つくったり遊んだりして知識を育てる、身につける図鑑として、『図鑑NEOシール』『図鑑NEOクラフトぶっく』『プレNEO BOOKS』、本物の大きさ絵本『原寸大』シリーズなど、多様な図鑑や書籍が刊行されている。