過去の質問会で先輩社員が答えた職種別FAQ<編集>

雑誌編集

児童学習誌

Q. 子どもの本をつくっていて、どんなときにやりがいを感じますか?
A. 書店や電車の中で、自分のつくった本を読んでいる子どもを見ると単純にうれしいです。自分の経験から感じることですが、幼児期に読んだ本や観たアニメの内容は、鮮明に記憶に残っていて、その人の人格形成にも大きく影響を与えると思います。自分のつくった本を、1文字1文字夢中になって読んでいる姿を見ると、この子の思い出のひとつに寄与できているのかもな…、と素敵な気持ちになります。
Q. 少子化に向けての対策は行っていますか?
A. 読者である子どもたちの数を増やす直接的な施策は我々にはありません。全体のパイが小さくても、その中でより多くの読者のハートをつかめるようにするにはどうしたらいいかを考え、取り組んでいます。少子化社会といえども、『妖怪ウォッチ』はゲーム、雑誌、アニメなどのメディアミックスで大ブームとなり、『コロコロコミック』が100万部に達するようなことも起き得るのです。『コロコロコミック』のように爆発的なヒットとはいきませんが、学年誌は常に読者の子どもたちの学習をサポートし、小学校生活がより楽しくなるように後押しできる存在として、時代の変化に柔軟に対応しながら、期待に応えられるように頑張っていきたいと思っています。
Q. 教育専門誌の編集者は教員免許を持っているのですか? また、仕事の難しさとやりがいを教えてください。
A. 編集部の中には教職免許を持っている人もいますが、私は持っていません。自分の経験からプランを考えることができませんが、男性が女性誌に配属されたりすることもあるのですし、どの仕事でも同じことです。学習指導要領を読んだり、書店の学校教育の棚で売れている本を読んだり、公開授業を見たり、先生が参加するセミナーに取材として参加したり、仲良くなった先生と食事をしながら本音を聞いたりして、企画を考えます。「自分が先生だったら、これを読んで授業ができるか? 子どもたちをまとめられるだろうか?」と考えながら、つくっています。私が実際に子どもたちの前で授業をすることはできませんが、未来を育てる教育の一端を担えていることは、やりがいに感じています。
Q. 『教育技術』の記事は、誰が書いているのですか?
A. 記事のつくり方としては、こちらで取材をする場合と、現役の先生に執筆していただく場合とがあります。有名ではなくても、優れた実践をされている先生は全国にたくさんいらっしゃるので、そういう方を発掘し、執筆を依頼するのも大切な仕事です。編集部内の人脈からたどっていったり、文部科学省の教科調査官にご紹介していただいたりして、毎月新しい執筆者を見つけています。

コミック誌

Q. まんが編集者に必要な素質はありますか?
A. 伝える相手が誰であれ、自分が「おもしろい」と思う作品には胸を張って「おもしろい」といい、「つまらない」と思ったものには「つまらない」といい張れるだけの度胸があること。また、そのために自分にとっての「“おもしろさ”とはなんなのか」が言語化されていることかと思います。まんが家や編集長などと自分の立場を比べて、萎縮して、作品に対する感覚に嘘をついてしまっては、いい作品づくりはできません。
Q. まんが家先生を担当するという仕事で、大切なことは何ですか?
A. 相手が最もいい仕事ができる状態はどういうものか、を常に考えることだと思います。たとえば、ちょっと厳しいくらいの言葉で意見を述べたほうが、かえってやる気が出るタイプの先生もいらっしゃれば、そういういい方ではびっくりしてしまうタイプの先生もいらっしゃいます。単純に仲がいい=いい仕事ができる、というわけではありませんので、最もいい仕事ができる状態は相手によって異なると思って、考えることが大切だと思います。
Q. 作家さんと向き合うときに気をつけていることはありますか?
A. 自分を裸にすることです。裸とは丸腰ということではなく、自分の持ってる武器をすべてさらけ出すということ。過去の恋愛も失敗もトラウマも、全部作品づくりにおいては武器になります。それを恥ずかしがらずに作家さんと共有し合うのが大切だと思います。もちろん武器は常に更新しなくてはいけないので、映画・テレビ・Web・音楽・飲み会……すべて作家さんに差し出す前提で日々吸収しています。
Q. 出版他社から小学館に転職されたとのことですが、その理由はなんですか?
A. 転職したいちばんの理由は、「大手のほうが自分のためになる」と思ったからです。前職で担当作を映像化したときに、この映像化が作家のためになっているのか、いまひとつ実感が持てませんでした。映像化によって、より作品が売れるように導くことが自分ではできなかったと反省しました。小学館は、他社からみたときに映像化がうまくいっているように見えました。また総合出版社として、まんがだけの出版社である前職よりも、たくさんの人がいて、たくさんの仕事があって、そのこと自体が自分の見聞を広めるためにいいことだと感じていました。

週刊誌

Q. 週刊誌の醍醐味は何ですか?
A. 常に情報の最先端にいるスピード感、独自ネタのスクープに携わる緊張感でしょう。といっても抽象的かもしれませんが。入社以来8年間、週刊誌を経験。1年で約50冊→8年だと400冊、毎週2~3つの案件を担当しているので、すでに1000件を超すニュースを扱ってきたことになります。ただ、その中にひとつとして同じニュースはないんです。来週何が起こるのか、自分の案件がどんな記事になるのか、常に新たなことと向き合っていく新鮮さがあります。「暇だ…」とぼやく瞬間もなく、編集者として、人としていい緊張感を持てている気がしていますね。
Q. デジタルが台頭している時代に、紙媒体の強さは何だと考えていますか?
A. 誰でもネットで情報発信できる時代なので、競争が激化しているのは間違いありません。仮に学生のみなさんが記者会見に出席すれば、新聞と変わらない記事を配信できます。しかし、新聞が記者会見や官公庁の発表をもとに記事をつくることが多いのに対して、週刊誌は独自取材で会見では語られない本音や裏事情を暴くスクープ記事をつくってきました。そのノウハウや人脈こそが強みであり、情報を入れる“箱”が何であろうと、優位性は保てると思います。

ライフスタイル誌

Q. イベントや出張が多そうですが、休日出勤はどのくらいですか?
A. 『ビーパル』は週末にイベントが多い部署ですが、担当が分かれているので、多くて月に1~2回で、振替休暇も取ることができます。
Q. 男性向けの雑誌だと思うのですが、女性の編集者としてギャップはありませんか?
A. たとえばアウトドアウエアのセレクトや、男性の趣味嗜好をベースにしたいときは、編集部員やライター、スタイリストなど、やはり男性スタッフの意見を聞くようにしています。ただ、企画を考えたり、ページを構成したり、編集作業自体には、男女差はそんなにないと思っています。親子向けの企画だったら、お子さんがいるライターにお願いするなど、なるべくリアルに実体験がある人や、経験があるスタッフたちのチカラを借りて、そのギャップを埋めるようにしています。
Q. どんな新入社員の後輩がほしいですか?
A. 「えっ!?」と驚くような発想ができる、ユニークな後輩がほしいです。『ビーパル』だとこうだろう、というような想定内のことではなく、的外れでも怖がらずに、「こんなことやったらおもしろいんじゃないか」ということを、臆せずにいい合える人。長く同じ雑誌をやっていると、いつの間にか枠にはまってしまうこともあるので、枠をはみ出した新しい視点、というのは新入社員ならではの強みだと思います。

ファッション誌

Q. 女性誌の編集部はドロドロしているイメージがあるのですが、本当ですか?
A. そんなことはないです。きちんとコミュニケーションは取れています。もし、某ドラマのような雰囲気・環境だったら、雑誌を出版することはできないと思います。
Q. ファッション誌の編集をしていて、学生のときにこういうことをやっておけばよかった、身につけておけばよかった、と思うことはありますか?
A. 出版社の仕事というのは、ほとんどの場合、特殊技能を必要としない仕事なので、何か特別なスキルを身につけておいたほうが職務上よかった、と思うことはなかったと思います。“就職”のための経験やスキルより、実際に仕事をするときに、自分の担当する雑誌や企画がどうしたら読者にとってより価値のある情報になるか、いいページになるかを突き詰めること、それに対して真摯に向き合えることのほうが、ずっと重要だと思います。あえて挙げるとすれば、女性誌に配属されると、あまり文章を書く訓練をしないうちから、少しずつですが文章を書くことになります。そのときに雑誌の文体や言葉のリズムがまったくわからないと、少し苦労します。そのため、好きな雑誌をたくさん読んでおくことが、やっておいたほうがいいことともいえるかもしれません。
Q. 自分の年齢と、配属された雑誌の読者対象年齢に開きがある場合、どうやって企画を考えるのですか?
A. 年齢がどうであれ、机に座っているだけで企画が思いつくことはまずありません。毎月20本近くの企画を出す必要がありますし、ネタは自分の足で稼ぎます。まずはとにかく、その雑誌を愛読してくれている方に直接会って、ライフスタイルや好きなファッション、仕事のこと、悩みなどありとあらゆることを聞きます。読者の方との会話の中から思いつくプランもたくさんあります。また、シーズンごとにファッションブランドの展示会や化粧品の新製品発表会があるので、そこでトレンドをつかんだりして企画につなげています。

書籍編集

Q. 新入社員は書籍に配属されますか?
A. あまり例がないようです。経験からいって、いきなり単行本を1冊つくる、というのは難しい面もあります。まず、雑誌で多様な現場を体験し、多くの人に会い、間口を広げておくことが大切です。ただ、作家と付き合うという点からいうとコミックと共通するので、文芸への配属は可能性があるかもしれません。付け加えれば、総合出版社のメリットのひとつはいろいろな部署があること。早くから「自分の適性は…」などと決めつけないで、入社後に発見していけばいいのではないでしょうか。一方で、書籍は社内のどの部署の社員が企画してもよく、企画さえ通れば、辞書の部門から料理本や落語関連、ドリルなど、さまざまなジャンルの書籍を出すことも可能です。そこが小学館のいいところだと思います。そういう意味では、新入社員であっても新書を出すことができます。それまでに企画力を養っておいてください。
Q. 他社の子ども向けの図鑑や百科事典と比べて、小学館の本が優れている点はなんですか?
A. 図鑑は60年、百科事典は25年という長い歴史の中で蓄積されたノウハウ、信頼性、識者とのパイプがあります。それらを活用し、子どものものといえども本格的な内容にこだわり、最新情報を加え世に送り出しています。それが読者のニーズに合ったために、小学館の本は高評価を得ているのだと思います。長い年月を重ねないとできない本づくりのノウハウがあるのです。
Q. 他の出版社と比べて、小学館の児童書の強味は何でしょうか?
A. まず、『ドラえもん』や『ポケモン』『名探偵コナン』など、人気キャラクターの存在です。まんがやゲーム攻略本、アニメや映画の関連本はもちろん、絵本、知育・学習、趣味まで出版物の幅が広がります。また、学年誌や学習ものの分野で歴史と実績があるので、中身の濃い本づくりができること。さらに、書籍、雑誌、教育、辞典など、複数の編集部で連携した企画が生まれることなどです。
Q. ライトノベルならではの仕事のおもしろさって何ですか?
A. 同じくらいの重要度で、イラストと文章が存在していることでしょうか。たとえば固い文章に固いイラストをつけることもできますし、逆に固い文章に柔らかい(萌え系の)イラストをつけることもできます。複数のクリエイターが組んでいるからこそ、作品としての仕上がりは千変万化する。それがライトノベルのおもしろさだと思いますし、プロデュースするライトノベル編集の仕事のおもしろさでもあると思います。
Q. アニメ化する際のライトノベル編集者の仕事を教えてください。
A. たくさんありますが、基本は作家の代弁者であることです。原作の脚本への落とし込みや声優さんによるキャラクターの演技など、作家の代弁者として作品を監修していきます。もちろん作家が直接会議やアフレコの場に出られればベストですが、そうできない場合も多々あるので。悪い意味での伝言ゲームにならないよう、作品への理解度はもとより、作家との日々のコミュニケーションも重要になります。

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