渡辺 朗典

子どもの“地頭”が
よりよく成長するために
できる限りいい“土壌=本”を
つくりたい

渡辺 わたなべ 朗典 あきのり

児童学習局
『小学一年生』編集長
1992年入社

渡辺の人柄
良くも悪くも
「欲がない」

プロフィール

「子どもの娯楽に関わる仕事をしたい」という思いから小学館に入社。希望が叶い学年誌、『ちゃお』、『ドラえもん ふしぎのサイエンス』と、“子どもの本”に長く関わり続けている。「ずっと現場で仕事がしたい」という思いから管理職になることを希望はしていなかったが、『ドラえもん ふしぎのサイエンス』を手がけた際の読者の反応、本の売れ行きで、自分が考える“子どものための本”に需要があることをあらためて実感。方向性や内容の決定権を持ち、そのことに責任を負える立場に興味を持ち、現在は『小学一年生』の編集長として活躍。編集部員から提出される企画の選定や構成ラフコンテ、デザインカンプなどをチェックして校了までを統括するが、自身でも予告ページ、インタビューページなどを担当することも。また、担当者とともにふろくの進行役も担う。

私の好きなモノ・コト

うちの子どもたちはおもちゃを「買って」ではなく「つくって」とねだります。シンクや冷蔵庫、剣など、つくったおもちゃはたくさん! 空き箱とクリアファイルでつくりあげたレジは、レバーを下げるとゴムのしかけで引き出しが開くんですよ。

出版不況なんていわれていますが、
子どもの読書環境的には“いい時代”

世間では“本離れ”といわれていますが、“朝読”という朝の読書活動が活性化していることもあり小学生の読書率は昔よりも上がっています。だから、出版不況なんていわれていますが私にとって今は「いい時代になった」という印象ですね。バブル以前は「いい大学に入って、いい企業に就職する」ことがよしとされていました。でも今はそこに価値があるかどうかわからない時代。それを親もわかっているから「学校の成績のためだけではない知識を持たせたい」と願い、その流れで「本に触れさせたい」と考えているのではないでしょうか。成績で判断するのではない能力を表す言葉に“地頭”というものがあります。これはいい換えるなら“理解力”。何かを見たときにまずは理解できるかどうか、そしてどう理解するか、そういった能力のことです。そして理解するためには“土壌”が不可欠。知識や想像力などさまざまな相互作用で土壌を豊かにしていくのが本の役割です。だから、私は「子どもの頃から本に触れることが大切」だと感じ、ずっと関わり続けていきたいと思っているのです。

本好きな子どもが増えることが、
やがて
世の中が良くなることに
つながるはず

小さな頃から本が好きでした。自分でまんがを描いたり、観た映画を絵と文章で表現したりと、自分で“書くこと”も大好き。そんな風に育ったのは、やはり幼い頃から本に触れていたからだと思います。小学1年生は初めて自分で文字を読めるようになって、自分で本を選択するようになる時期。その時期に「本を読むことは楽しい」「本を読んで、知らなかったことを知るのは気持ちがいい」という快感を得て欲しくて『小学一年生』をつくっています。本はただ“本”としてそこに存在しているのではありません。人にたくさんの情報を与え、正しい知識と想像力を提供し続ける装置です。正しい知識と想像力を身につけた人が増えれば、この世の中は今よりももっとよくなるはず。私が子どもの本をつくっているのは、少し壮大ですが「日本を、世界を、本の力でもっとよくできたら」という思いがあるからです。ひいては子どもたちが住みよい環境になることにもつながります。『小学一年生』で養われた知識と想像力が枝葉のように派生していき素晴らしい大人になることを、私は本をつくりながら願ってやみません。

デスクからみる渡辺の人柄

渡辺ってじつはこんな人

日本酒と工作が好きで、カタツムリが大嫌い。日本酒を飲んで、しゃべってるうちにおいおい泣き出してしまい、私ももらい泣きしたことが数度あります。アツイ人なんです。3人のお子さんのために、おもちゃを工作してあげるのがストレス発散方法。『STAR WARS』のライトセーバー(伸縮自在)をつくってあげたことも。生理的にカタツムリが嫌いだそうで、カタツムリの企画を提案しても、「悪いけど・・・」と、まず通りません。

『小学一年生』
田中 明子

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