小学館 RECRUITING 2017小学館 RECRUITING 2017

対談 専務と新入社員 小学館の今昔対談

編集者の今昔

〝使える編集者〟になるためには
推敲の連続以外にないんだよ

長岡
配属が決まり、働き出してまず驚いたことが「普通の人がいない!」ということです。今までの人生で出会ってきた〝印象の強い人〟ばかりがバッと集まっている会社な気がします。一筋縄じゃいかないっていうか。

山岸
どういうところが「普通じゃない」と感じるの?

長岡
自分の主義主張や価値観をみんながちゃんと持っていて、それぞれがある意味正解で、とはいえ正解もひとつじゃないみたいで。価値観がぶつかるときもあれば、うまく融合することもある。その現象が全部「すごい!」って思えるものばかりなんです。いいものができる過程を目の当たりにした素直な感想…ですかね。

吉田
同じ編集部の中で、こっちの先輩があっちの先輩のつくったページを論じている、ということをよく目にします。批判もあれば賞賛もあるのを見ていると、「バラバラの価値観が集まっているからこそ、面白い雑誌ができるんだな」と思えますね。よく違いを「180度違う」っていいますけど、編集者たちの考えがみんな〝10度ずつ違う〟みたいなイメージです。

山岸
編集者って、みんなが〝ライバル〟という意識を持っているはず。そこには先輩も後輩もない。いかにして「読者が驚くような面白い作品をつくるか」を追求している人ばかりだからね。昔の編集者は今よりももっと小難しかった気がするよ。作家の世界を追い続けてマニアックになったり(笑)。今の編集者のほうが大らかで、わかりやすい感じ。シンプルな理論を持っている人が多くなったのかな。

長岡
僕が思い描いていた編集者のイメージと違ったのは、断然今の編集長ですね。編集長って怖くて鬼みたいなイメージだったんです(笑)。でも、『コロコロコミック』の編集長はとても気さくな人なんです。「飲みに行こう」と誘ってもらい2人でじっくり話をさせてもらったこともありますし、「悩みがあったら聞くよ」ともいってもらえる。すごく助けてもらっているので、いい意味で裏切られました。

吉田
私の先輩たちは思い描いていた編集者のイメージに近いです。あんな面白いまんがを世に出している先輩たちは、やはり何をするにも理由をしっかりと持っていて、しかもそれを言語化するのがうまい。私も理由を持っているはずなんですけれど、たとえば「何でこういうページにしたの?」と聞かれると、ロジックをすぐに組み立てられなくて、言葉が見つからなくて、説明がすぐできないんです。今の大きな悩みですね。

長岡
そうそう、少し答えられてもすぐさままた質問をされて、結局答えに詰まってしまうことが多いです。

山岸
フィーリングじゃ通じないよ。僕もね、たとえば『アオリ』とか『柱』とかいう、まんがの扉や枠外にある文章なんてそれこそ何度も書き直しさせられたよ。正直「どこが違うんだよ!」って思ってた。そういうことの繰り返しで、コツをつかんだり、イメージを言語化できるようになったりしていくんだ。原稿でも、企画でも、書き直しの連続で飽きてきてどうしようもなくなった時に、ポッと何かが見えたりするものだよね。

長岡
山岸専務でも同じような体験があるんですね! すごく勇気が出ました(笑)。

編集魂の今昔

「自分だったらこうつくりたい」
その積み重ねが宝を生むんだ

吉田
私が今、副担当をしているのは8ページのギャグまんがです。打ち合わせには、妄想したことや『壁ドン』みたいな流行を取り入れたギャグのネタを5つくらい持っていくんですね。先日、作家から上がってきたネームのひとつに、その自分のアイデアが盛り込まれていて! 自分の書いた5行くらいのメモみたいなものが、すごく面白いまんがに変身しているのを見て、作家のスゴさを感じました。山岸専務は雑誌を面白くするためにどんなことをされていたのですか?

山岸
僕は、読者ハガキを毎月2万通くらい隅から隅まで読んでいましたね。ハガキの質問はイエス・ノーではなく、なるべく読者本人の意見を書いてもらえるような内容にしていたんだよ。それを読むと読者の人たちの考えや、流行なんかが見えてくる。たとえば「プチセブン」編集部にいた当時、文字を間違えた部分を黒く消してミノムシのイラストを描いてくる読者がたくさんいたんだ。それを見て「流行ってるんだなー」と流行ニュースの中に入れたり。アンケートへの回答を見るだけではなく、表現の仕方も見ていましたよ。

長岡
僕は、映画『バクマン』に感化されてしまって、変に熱いテンションで担当しているベテランの作家に何度も電話をかけて、ちょっと引かれてしまったことがあります。「新人作家ならそういう熱意の出し方もアリかもしれないけれど、ベテランに対する態度ではない」と、先輩に教えてもらって「作家によって変えないといけないこともある」と学びました。

山岸
ははは、面白いね。確かに熱意は必要だけど、伝え方にはテクニックが必要かもしれない。僕は、他の人がつくれないような「読者がびっくりする面白い本をつくろう」といつも思っていた。だから、編集長になって自分の手で思いどおりにつくって、途端に雑誌が売れた経験はいつまでも忘れられないんだよ。

長岡
すごいですよね、『プチセブン』も『CanCam』も、山岸専務が編集長になってすごく変わったって聞いています。

吉田
他の人が真似できない企画力って、どう養ったらいいのでしょうか?

山岸
それはすごく楽しい半面、すごく苦しい作業だね。〝産みの苦しみ〟というやつです。まずは読者と同じ頃の自分を思い出して、何を考えて、何に悩んでいたかを考える。僕なんか、モテなかった時の苦い思い出や教訓をまんがにすることもあったよ(笑)。とにかく、自分が経験してきたことというのはすごく役に立つからよく考えるといいよ。しょーもないことでもしょーもないなりに使える。今は昔と違って活躍する作家の種類も、表現をする場所も、たくさん変化が起きているよね。編集者が考えるべきことも多角化している時。そんな今という時代に合わせて、新しい感覚で頑張って欲しいな。

吉田
今日は貴重なお話をありがとうございました! 早く一人前の編集者になれるよう頑張ります!

長岡
自分の不甲斐なさに悩んでいましたが、山岸専務のお話を聞いたらまたやる気が湧いてきました! これからもよろしくお願いします。