書籍ができるまで

世間の「知りたい!」心を
くすぐるテーマ決めが要

書籍には小説や新書、写真集、児童書などさまざまな種類がありますが、ここでは実用書を例に説明します。実用書とは、料理や健康、美容など、ライフスタイルで活用できる内容を取り上げたもの。多彩なジャンルの中からそのときの旬をいち早くキャッチし、読者の興味を引く本にすることが最大のテーマ。編集者は常にあらゆる方面へアンテナを張っています。

STEP1

企画
立案

発売6か月前

イメージ
絞りこみ

類書
チェック・
資料集め

上長への
プレゼン

著者への
執筆依頼

世間の興味を見極め、
まず社内で「読みたい」と思わせる

実用書で重要なのは「今、何が求められているか」というテーマ決め。「どんな情報を出すと世の中の人の役に立つか」を、たとえばお金・病気・家事などいろいろな視点から考えます。テーマを決めたら説得材料として資料や類書、データなどを収集。上長へのプレゼンは自分以外の人が「おもしろい」と感じるかどうかの第一関門です。ここでOKが出たら著者を選んで依頼をかけますが、著者ありきでスタートする企画もあります。

STEP2

原稿
制作

発売3か月前

進行表・

コンテ※1

だいわり台割※2作成

取材・
撮影・
執筆

コンテ
見直し・
タイトル
決め

デザイン
依頼

思い描いた本の内容を
実際形にする作業へ突入

発売日はテーマに合わせて決めるもの。たとえばダイエットなら薄着の季節に入る前に書店に並ばないといけません。内容はページ数や構成を具体的にコンテ・台割(だいわり)に落とし込み、自分の頭の中のことを他者と共有できるよう形にします。コンテをもとに取材や撮影をしたら、「気づいたことの反映」という意味で何度も内容を見直します。見直しが終わったらデザイナーへ。実用書の人気はデザインの影響も大きく関わるので念入りに打ち合わせ。

※1 コンテ……

ページをどんな展開で見せるのかを実際に描き起こしたもの。ラフ、ともいう。
これを描く(書く)ことで、写真や文章の量、イラストの有無など必要な素材や分量が見えてくる。

※2 台割………

各ページにどんな内容を入れ込むか、一覧表にしたもの。

STEP3

入稿

発売1か月半前

印刷会社へ
材料渡し

ゲラ
(校正紙)
チェック

ゲラ
チェック
集約

再入稿
(初校戻し)

本の材料を印刷会社に渡したら、
関係者みんなで内容チェック

文字原稿・デザイン・写真など、本をつくるための材料がすべてそろったら印刷会社に渡します。数日後に印刷会社から「ゲラ」と呼ばれる校正紙が出稿されるので、著者・ライター・デザイナー・校閲担当者・編集部員などの関係者みんなで内容をチェック。書籍の内容によってはカメラマンもチェック。いろいろな意見を集約し、解決させた内容を「赤字」としてゲラに記入したら印刷会社に戻します。

STEP4

校了
作業

発売1か月前

さいこう再校
チェック

宣伝プラン
を考える

とにかく
確認!!

本の内容を何度もチェックしつつ、宣伝活動&内容を検討

再度、印刷会社から出てきた「ゲラ(再校)」をチェックします。同時に、発売される頃にメディアで取り上げてもらえるよう宣伝活動をスタート。「こういう本を出します」という情報を各方面へ告知し、著者インタビューや本の紹介記事、ブロガーによる発信など宣伝活動のプランを考えます。本の内容チェックは締切ギリギリまで継続。明らかな間違いではないけれど、どう表現するか迷うものなど手離れするギリギリまで検討事項は残るので、とにかく最後まで確認します。

STEP5

印刷

発売

本の完成が近づいたら他部署と連携して書籍の話題づくり

最後の校正紙を印刷所に戻したら校正は終了。その後は制作局が進行を管理し、書籍が印刷・製本されます。編集者は自社広(自社が手がける雑誌などに載せる広告)の手配や宣伝・販売各担当者との打ち合わせを重ね、多くの人の目にとまるようなきっかけづくりに努めます。

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