デジタル事業局 コンテンツ営業室

たかはし しゅんのすけ高橋 駿之介(5年目)

守備範囲は紙から電子まで!

プロフィール

幼い頃、親が読んでいた『うしおととら』と出会って以来、まんがが大好きに。まんがを読む時間が欲しくて塾をサボることもしばしば。入社後は『ビッグコミックスペリオール』編集部に配属され3年間まんが編集者として働き、2017年にデジタル事業局コンテンツ営業室に異動。まんが編集で培った知識を生かしつつ、少年まんがの電子配信と『サンデーうぇぶり』の運営を担当。過去作から連載作まで、できる限り多くの読者のもとへ届けるべく奮闘中。【好きなもの】日本酒

自分の名前が未来永劫残る仕事がしたい。

そもそも私が出版社で働きたい!と思ったきっかけは「大好きなまんが家と一緒に仕事がしたい!」という気持ちだけでした。そんな中でも小学館に心惹かれたのは、私の大好きなまんが家のいちばん好きな作品を出版している会社だったから。でも実はそれだけではありません。単行本の「奥付(おくづけ)」というものをご存知ですか?「奥付」とは本の巻末に著者名や発行者名などを記載したもののことなのですが、実は小学館の単行本の奥付には担当編集者の名前が入ります。今の日本の法律では、出版されたすべての出版物は国立国会図書館に保存されると定められていますので、自分の生きた証がそこに残ることになります。もちろん、まんがづくりの主役はまんが家の方々ですし、編集者はその裏方だと思います。それでも、初めて担当した単行本『フットボールネーション』の奥付に自分の名前が載っているのを見たときの感動は忘れられません。編集者は出版社におけるものづくりの最前線。奥付に自分の名前が載ることはゴールでも何でもなく、新連載を立ち上げて、ヒット作を生み出すことが最も大事な仕事です。それでも、自分の生きた証を残せるってのもちょっぴり素敵だとは思いませんか?

  • 編集者時代に担当した大武ユキ先生の『フットボールネーション』。自分が担当したのは7~11集。

  • 電子書籍ストアの担当者の皆さんとの定例会風景。毎月20社近くのストアから売れ筋ジャンルや市場動向などを聞いています。

新旧の名作が入り乱れるデジタルコミック市場。

主な業務は『少年サンデー』『ゲッサン』『サンデーGX』などの少年まんがの雑誌・コミックスの電子配信と『サンデーうぇぶり』というマンガアプリの運営。デジタル事業局に異動していちばん驚いたのは、「電子書店では現行の連載作も往年の名作も一緒くたに売られている」という当たり前のこと。それゆえ、ユーザーは嗜好にあったまんがに出会えれば、いつの時代の作品でも、買って、読んでくれる。そのための仕事のひとつが「期間限定無料試読」のフェアの企画。たとえば、2017年から少年サンデーで連載開始した『保安官エヴァンスの嘘』。コミカルな西部〝喜〟劇を描く本作は1巻発売当初から売れ行きも好調でしたが、自分の感覚では「もっと人気になるはず!」と思っていました。3巻発売のタイミングで満を持して、本作をメインにした無料試読フェアを企画。結果はフェア実施前と比較して約3倍の売上に。もちろん、旧作でもフェア実施により劇的に売上が向上することはざらにあります。つまり今の私の仕事は「おもしろい!」と思ったまんがを新旧問わず読者に届けることができる仕事。当然、まんがの知識は必要ですが、自分の企画で自分のオススメのまんがの売上が大幅に上がったときの快感はひとしおです。

  • 『保安官エヴァンスの嘘』の一コマ。とてもおもしろい西部〝喜〟劇です。オススメ!

  • 普段の仕事の風景。好きなまんがを読みながら、売れ行きのデータ分析なんかをしています。

いつでも、どこでも、誰にでも。手のひらにまんがを携える時代に。

デジタルの部署にいると、まんが業界の変遷を身近に感じられます。私は異動して1年と少しですが、それでも目まぐるしく変わる市場を目の当たりにしています。おそらくこれからも販売形態や読者の変化など、想像もつかないさまざまな変遷を見ていくことになるでしょう。そうすると楽しくなってくるのが未来を夢想すること。「今話題のAI技術が進んだら?」「紙からデジタルコミックへの読者の移行が今よりもっと進んだら?」さまざまなビジネスチャンスが無限に広がっているようにすら思えます。ある意味何でもできてしまうデジタルという世界。だからこそ、自らルールを考え、常によりよい状況に持っていくために考え続ける姿勢が求められています。その分、しっかり考えた自分の意見であれば採用されることも多く、挑戦のしがいがある仕事ではあります。まんがの「話売り」という概念や「デジタル描き下ろし作品」が少しずつ浸透してきている昨今、もしかしたら数年後にはデジタル事業局の業務内容は大きく異なっているかもしれません。ただし、それでも変わらないのは、ひとつでも多くの作品をひとりでも多くの読者へ届けるという使命。それを忘れることなく仕事をしていきたいと思っています。

おもしろ層Q&A

Q.もし、小学館に入社していなかったら、何をしている?

A.小料理屋のオーナー。大将と女将に店は任せて、毎晩カウンターの端っこで酒を飲む生活をしている(と、いいなぁと思っています)。

Q.もし、遊園地に速すぎるジェットコースターと、
遅すぎる観覧車しかなかったら、どっちに乗る?

A.速すぎるジェットコースター。遅すぎる観覧車は現実でもつくれるだろうし、ウラシマ効果が体験できる程の、光の速さのジェットコースターがあったらすごくおもしろそうだから。

Q.もし、手に入るなら未来が読める能力と人の心が読める能力、どっち?

A.人の心が読める能力。人の心が読めるなら未来が読めなくても、人心を操って自分の望む未来をつくれるから。

Q.おもしろい(interesting)ことと、おもしろい(funny)こと、
今どっちを求めてる?

A.両方。Interestingでfunnyなことの方が、どちらか片方より圧倒的におもしろそうじゃないですか。欲張った方がいいと思います。

1日の仕事の流れ

  • 8時起床
  • 9時30分通勤電車でデジタルコミックの
    ランキングチェック
  • 10時出社。メールチェック
  • 12時先輩や上司と神保町で昼ご飯
  • 13時デジタルコミックの配信会社の方々と定例会
  • 14時『サンデーうぇぶり』アプリ運営打ち合わせ
  • 16時編集部と電子配信の売上に関する打ち合わせ
  • 18時資料づくり
  • 19時退社
  • 20時自宅近辺でひとり飲み
  • 24時就寝

発掘!おもしろ層

三軒茶屋の三角地帯。迷路のように入り組んだ戦後から続くと言われる飲み屋街がおもしろい! どこも一風変わってて、店主も客も変わり者だらけでカオスな街。この街でひとりで飲んでいると、多様なジャンルの方の裏話が聞けて楽しいですよ。

3rd EYE サイト製作者は見た!

まんがって本当に素晴らしい!

デジタル事業局の仕事についていろいろな話を聞いたが、まんがの話に及ぶと目の輝きが変わった。その熱量にこちらも感化される。小学館への入社動機にもなったある作品で衝撃を受けたという、偽善を灰にして人間の本性や世界の真実を剥き出しにするようなセリフ(←この言い回しも明らかに感化されている)を聞かせてもらい鳥肌。『ビックコミックスペリオール』編集部時代に編集長からもらった金言「100人中99人を救うのが政治だとしたら、100人中1人を救うのがまんがだ」に「かっこええ!」と重ねて鳥肌。読まなくても、まんがについて話すだけで元気がもらえる、いい大人が熱くなる、ああ、まんがって一体なんなんだ!と初対面で共鳴しあえたのも、きっと彼のまんが愛が本物だからだろう。(by ネコ偏愛者・制作会社ディレクター)