第一コミック局 ちゃお

せきぐち ゆうへい関口 悠平(3年目)

いつまでも子ども心を忘れない、
自由な編集者を目指して。

プロフィール

なんでもやってみたくなる性格で、大学では物理学と言語教育学を専攻。「真逆の専攻をどちらも生かせる」という理由から、児童向け書籍の編集を志す。入社後、月2回刊誌『Sho-Comi』を経て、『ちゃお』に異動。メイン読者である小学生女子の感覚を知るべく、週末はアニメを見たり、文具店で付録用サンプルを探して過ごす。もともと文具好きで、サンプル探しは苦にならないが、いつのまにか自分用の文具を大量購入してしまうのが悩み。【好きなもの】文具

自分の知らない「自分らしさ」に気づける。小学館という会社は、そんな場所です。

小学館の何よりの魅力は、「その人らしさ」に対して貪欲な点だと思います。私は、イタリアと日本のハーフで、外見も特徴的なため、良くも悪くも自分のことを「独特な人間だ」と思っていました。ですが、小学館の面接で言われたことは、「キミって普通だね」。好きなものやら、考え方やら、自分の根の部分をどんどん質問される中で、初めて自分らしさが何かを真剣に考えたように思います。入社後も、企画を通して、日常のおしゃべりを通して、自分がどんなものを好きで何を伝えたいと思っているのか試される毎日が続きます。人に言われて新たな一面に気づいたり、まわりを驚かせたくて新しい趣味を探したり⋯⋯。そうやって広がった経験が、まんがの企画に生きることや、作家さんと意気投合するきっかけになることもしばしば。あの面接から3年、やっと少しは「自分らしさ」が見えてきたような気もしますが、まだまだこれから、一生かけて「自分らしさ」と向き合っていくのだろうなと思います。

  • 文具を集めるのが楽しみ。

  • イタリアの家族との食事。

細かいことは気にせず、何にでもおもしろがって首を突っ込む、そんな人間でありたい。

『ちゃお』というのは、不思議な雑誌です。読んでいるのはほとんどが小学校中~高学年の女子。でも、つくっているのは皆大人で、男性の編集者も多い。自分が子どもだった頃のことを思い出したり、今の子どもたちの考え方を想像したりしながら編集するしかありません。それゆえに、子どもたちの目線に立って、「おもしろい」と思えるかどうかが何よりも大事だと思っています。たとえば付録。毎月一度行われる付録会議では、編集部みんなが持ち寄った「おもしろいもの/流行っているもの」をプレゼンしあって、次の付録の種を探します。子どものように楽しみながら文具をプレゼンしている編集部を見ていると、仕事のような、遊びのような、不思議な感覚になります。まんがでも、それは同じ。『ちゃお』らしさにとらわれすぎず、いかに新しいものを産み出していけるか。そのためには、しっかりいろいろなことに首を突っ込んで、なんでも笑って楽しんでいける、そんなふところの広い人であることが大事だなと感じます。

  • 『ちゃお』の付録会議用のサンプル。

  • けげんな顔のめいっ子。

将来のビジョンは、子どものことならなんでも知っている、そんなおじさん。

小学館では、入社したあと、ずっと同じ部署にいるわけではありません。『Sho-Comi』から『ちゃお』という、隣りの部署への異動でも、変化はとても大きく、読者に刺さるまんがも180度違います。そのため、今の部署にいられる時間が限られているという焦りはあるものの、逆に言えばこれから先、まだ知らないことにいくらでも出会えます。そんな中で、自分がどうなりたいか、ひとつのビジョンとして大事にしているのが、「子ども博士」のようなおじさんになること。子どものことなら関口に聞け、と名前があがるような人でありたいと思います。長い会社員生活、少女まんがはもちろん、児童書やキャラクター雑誌など、広く子ども全般に向けた本づくりをしていければ⋯⋯そんな野望を持ちつつ、日々めいっ子と遊んだり、他業種の子どもに関わる方々の話を聞きにいったりしています(とはいえ、まだめいっ子にすら泣かれているので、子ども博士への道はずいぶんと遠そうですが⋯⋯)。自分のやりたいことを学びながら実践できる、とても恵まれた環境で働かせてもらっているので、一日一日がとても充実しています。

おもしろ層Q&A

Q.もし、小学館に入社していなかったら、何をしている?

A.玩具や文具など、子ども文化に関われるものづくり。「いつか自分が親になったときに、子どもに自慢できるようなものをつくりたい」と思いながら就活していました。母が児童書の翻訳をしており、幼少期の私にとって、母の手がけた作品を読めるのがとてもうれしいことだったので、その影響かもしれません。

Q.もし、遊園地に速すぎるジェットコースターと、
遅すぎる観覧車しかなかったら、どっちに乗る?

A.速すぎるジェットコースター。未体験なスピードは、自分の視野をきっと広げてくれると思います。実際、私は以前ジェットコースターにまったく乗れなかったのですが、海外の速度制限がない高速道路で時速200kmの車に乗せられてから、速さへの恐怖を乗り越えられました。もちろん、安全面が保証されている場合に限りますが⋯⋯。

Q.もし、手に入るなら未来が読める能力と人の心が読める能力、どっち?

A.未来が読める能力です。自分が死んだあとの、遠い先の未来まで見られたら最高ですね。人類の行く末、何より興味深いエンターテインメントではないでしょうか(ホラーでないことを願いますが)。反対に、近すぎる未来は、日常のドラマのネタバレになってしまうので、見たくありません。人の心は⋯⋯、読めるように日々、努力しようと思います。

Q.おもしろい(interesting)ことと、おもしろい(funny)こと、
今どっちを求めてる?

A.「funnyのしくみ」がとても気になります。予想外の展開、下品なおもしろさ、何度見ても笑える鉄板ギャグ⋯⋯。いろいろなパターンの笑いを意図的につくれるようになったら、4コマまんがの編集からアオリ文まで、できることがきっと増えるだろうなと思います。特に、世代や言語の壁を越えた笑いを、まんがや本を通じて表現することに興味があります。

1日の仕事の流れ

  • 7時起床
  • 10時出社。メールチェック、その日の予定をまとめる
  • 11時夜のうちに届いたネームや下絵を作家に返事
  • 13時昼食(なるべく行ったことのないお店へ)
  • 15時記事ページのラフ(構成案)を切る
  • 17時先ほどのラフをもとに、デザイナーに依頼
  • 18時作家と打ち合わせ後、一緒に夕食へ
  • 21時帰りがけに映画を見る
  • 24時就寝

発掘!おもしろ層

私が気になっているのは、日本各地のお祭り。東京の町を200基もの神輿が埋め尽くす神田祭に、4日間徹夜で踊る岐阜県・郡上おどり⋯⋯。想定外の規模のお祭りがたくさんあり、現地の人に交じって参加するのがとても楽しいです。

3rd EYE サイト製作者は見た!

不器用な彼の頼もしい背中。

頭でっかちで、腰が重い。「放っておくといつも同じ音楽を聴き、同じものばかり食べてしまうようなタイプ」。だからこそ、あえて苦手なこと、未知なことに挑戦する。愚直というか、生真面目というか、常に何かに一生懸命な人。スポーツが苦手なのに野球やサッカーをやり始める、小学生女子の気持ちが分からないなら子どもたちに混じって『アイカツ!』のゲームをする。恥も外聞も捨てとりあえずやってみる! そうして世界が広がっていくワクワクを読者にも届けたいと彼は本気で思っている。偶然目にしたまんが原稿の持ち込みに対応する彼の背中が、2年前に出会った頃に比べずっと大きく見えたのは、やはり目の錯覚ではなかった。(by ネコ偏愛者・制作会社ディレクター)