第一児童学習局 小学一年生

いそべ  なな磯辺 菜々(新入社員)

ピッカピカの社会人一年生、
ただいま奮闘中!

プロフィール

小さい頃から絵本や図鑑が大好きで、大学では絵本の研究、大学院では読書感想文の研究をしました。研究者になる道も考えましたが、「子どもを分析する側より、楽しませる側でいたい」と思い小学館に入社。現在『小学一年生』編集部にて、取材や記事づくりに奔走中。特技は腹話術。いつか子どもとふれあうイベントで使うためにと思い、学生時代に師匠に弟子入りして習いました。【好きなもの】腹話術人形・しょういちくん:お値段、なんと15万円。

子どもは、「好き」とともに成長する。

学生時代、発達障害児支援の塾でバイトしていました。そこには当初、何にも興味を示さずほとんど笑わなかった自閉症の男の子がいました。しかしあるとき、ふと『小学館の図鑑NEO 恐竜』を手渡すと、大迫力のイラストにじいっと見入って、目をキラキラさせたんです。それ以来、彼は肌身離さず図鑑を持ち歩いて、恐竜の名前を全部覚えようとしたり、友達に見せてニコニコしたり、図鑑を抱きかかえて博物館にいったり⋯⋯。そんな様子をみて、「この子が、この本と出会えてよかった」と鳥肌がたったのを覚えています。きっと、自分がまだ知らない世界の情報がこの中にずっしりと詰まっている、という特別感が気に入ったのかもしれません。「待っててな、世界中のおもろいもんまだまだいっぱい見せたるからな!」──そんな思いで、子どもの本や雑誌をつくる人になろうと決意しました。子どもは、「好き」とともに成長します。恐竜でも電車でもドラえもんでも仮面ライダーでもいいから、何か夢中になれるものに出会ってほしい。そこを皮切りにどんどん世界を広げていってほしい。児童書の編集者は、子どもにとって世界の水先案内人なのかもしれません。

  • 小学一年生10月号とふろく。

  • 小一のイベントで、子どもたちに腹話術を披露。スベりました。

「できたらいいな」がカタチになる。

そんな想いが叶って、『小学一年生』に配属されました。身近な生活や科学を取り上げて「まなぶおもしろさ」をさまざまに伝える月刊の学習雑誌です。読書の入り口にいる小学一年生に、どんなおもろい世界を見せられるのか、とってもワクワクしています。私は「おたよりコーナー」「工作ページ」などを担当する他、配属1か月で巻頭特集にもチャレンジさせてもらえました。日々失敗だらけの新人にも「サポートするからとりあえずやってみな!」と任せてもらえる環境なのは、本当にありがたいです。そして記事をつくる中で、「できたらいいな」という脳内イメージが、プロの方々のおかげでカタチになっていくさまに感動します。この前は、「子どもの頃から秘密基地が憧れなんです!」と工作作家さんに熱く語り、工作のテーマが「ひみつきち」に決定。かわいいテントやダンボールハウスをつくってもらい、感無量でした。最近の楽しみは、子どもとふれあうこと! いつも撮影の合間に小一モデルとふろくで遊んだりしています。また、読者からのおたよりも本当にうれしい。「ありがとう」と習いたての字で書かれたハガキが編集部に届くたび、よっしゃ!とやる気が出ます。

  • ダンボールでつくれる、カフェ風ハウス! かわいくないですか?

  • 子どもたちからのおたより。

遊ぶように働く、「大きな子ども」をめざして。

難しいのは、「子どもが何をおもしろいと思うのか」という読者のニーズを掴むこと。これからたくさん子どもに触れて、あの子はこれ喜ぶかな、20年前の私はこれ読んでワクワクするかな、という実感を大切にしながら企画を考えていきたいと思います。小学館の児童学習局には、尊敬すべき「大きな子ども」がたくさんいます。画用紙でライトセーバーを工作したり、ふろくのすごろくで真剣に遊んだり、仮面ライダーについて熱く語ったり、金曜夜に編集部のテレビでドラえもんのアニメを熱心に見入っていたり⋯⋯。子ども心を忘れない、おもしろい職場に来たなと思います。この前上司に言われた一言が印象に残っています。「『この雑誌が今までどうだったか』なんて気にしなくていい。磯辺自身が本当におもしろいと思うものを、全力でカタチにしろ」。──これを胸にしまって、全力で遊んでいきます。これからやりたい挑戦も盛りだくさん。オリンピックであれもやりたい、あの人にも会いたい、『小学一年生』100周年企画はどうしようかな、これデジタルでやったらおもしろそう⋯⋯。出版業界や児童書業界は、これからどんどんおもしろくなるし、私たちがおもしろくしていきたい。そんな心意気で、日々奮闘中です!

おもしろ層Q&A

Q.もし、小学館に入社していなかったら、何をしている?

A.大学院に残って教育社会学の研究者になる。もしくは腹話術師として第二のいっこく堂さんを目指し、地方の商店街やイオンを巡業します。

Q.もし、遊園地に速すぎるジェットコースターと、
遅すぎる観覧車しかなかったら、どっちに乗る?

A.遅すぎる観覧車。双眼鏡を持ち込んで遊園地全体を見渡します。園内で子どもたちが何に食いついてどう楽しんでいるのかを、なめまわすように観察したいと思います。

Q.もし、手に入るなら未来が読める能力と人の心が読める能力、どっち?

A.未来も人の心も、完全にわかってしまうと逆に何もできなくなりそう⋯⋯。わからないなりに必死にもがき続けるしつこさと、トライアンドエラーを繰り返す好奇心とを大事にしたいです。

Q.おもしろい(interesting)ことと、おもしろい(funny)こと、
今どっちを求めてる?

A.特に子ども向けの本は両方あってこそだと思うので、どっちも! 何ならsurprising もamazingもぜんぶ求めてます。

1日の仕事の流れ

  • 9時起床
  • 10時出社。メールチェック
  • 11時おもちゃメーカーの展示会にいく
  • 14時資料室や図書館で資料集め
  • 16時ページ構成を考え、ラフを書く
  • 18時ライターと次号連載の打ち合わせ
  • 20時先輩とご飯
  • 21時編集長に企画の相談、雑談
  • 22時帰宅。アニメ『BANANA FISH』を観て泣く
  • 25時就寝

発掘!おもしろ層

IKEAでひとめぼれして買ったキッズテント。秘密基地っぽくてテンションが上がります。酒とつまみを持ち込むもよし、腹話術人形を寝かせるもよし。いつか組立式の秘密基地ふろくを企画したい!

3rd EYE サイト製作者は見た!

夢は世界初、
腹話術で子育て。

眩しい。内面から溢れ出すエネルギー。子どもが大好きで、おひさまのような黄色がよく似合う、『小学一年生』の編集者という肩書きがぴったりな人。「学校の先生だと、1クラス40名、1年間しか相手にできない。それは悔しい。でも子どもの心の中の本棚に置かれる、いつまでも記憶に残るような本をつくれば、その子のことをずっと応援することができる」。仕事中も、自分の心の中にいる子どもとキャッキャ言いながら、あれしたいこれしたいと対話(独り言)する。そんな彼女の夢が、腹話術の人形を使った子育てと聞いて腹の底から笑った。現実と想像が曖昧な子どもの幻想世界を膨らませる育児、絶対叶えてほしい。(by ネコ偏愛者・制作会社ディレクター)