第四コミック局 マンガワン事業室

よこお  かずたか横尾 一塁(新入社員)

元・まんが家志望として、
「産みの苦しみ」に寄り添い続ける。

プロフィール

幼少期からまんが家を目指し、原稿の持ち込みや投稿を行っていた。大学在学中に縁あってマンガワン事業室でアルバイトをすることになり、編集志望へ転向。入社後はそのままマンガワン事業室に配属。週刊連載のサブ担当をこなしながら、新人作家と連載立ち上げにむけて準備中。趣味は食べ歩きのほか犬のパグに目がなく、パスケース、スマホカバー、果ては服まですべてパグで出社することも多々。しかし別に飼っているわけではない。【好きなもの】パグ犬

「生み出したい」を「諦めない」職場との出会い。

物心ついた頃から物語や絵を描くことは好きでしたが、実は最初にまんがに触れたのは小学校高学年になってから。その反動か、初めてまんがを読んだ瞬間から「自分も描きたい」という強烈な衝動が抑えられなくなりました。最初は同級生に見せる程度だったものが次第に高じていき、大学時代には原稿の持ち込みや投稿も経験しています。その縁で、『マンガワン』でアルバイトをするチャンスを得ました。そこで覗いたコミックアプリの現場は、10年越しの「まんが家になりたい」という強い思いをひっくり返すほど、先進的でワクワクするものでした。就職活動を控えた大学3年生で編集者を目指す道に出会えたのは、今思えば運命だったと感じています。出版社に入った今も、まんが家を目指そうとしていたときの経験や気持ちは、まったく無駄になっていません。出版社を目指す人の中には、小説家やまんが家など、この世に新しいモノを生み出すことに一度は憧れたという人も多いと思います。目標が変わった、自分には力が足りないと思った──いろいろな理由でそれを「諦めてしまいそう」な人でも、その秘めた熱さを捨てずに生かせる環境が、小学館という会社の魅力だと思います。

  • 生年月日が全く同じという、運命的な何かを感じる新人まんが家さんとの打ち合わせ風景。

  • 自宅のまんが作業スペース。仕事の傍ら今でもまんがを描いています。

ゼロから「ワン」をつくり出す喜びをかみしめる。

マンガワン事業室は、新入社員でも即、最前線の業務に登用されます。実際に、引き継ぎではない新設の記事ページを担当しているほか、自力で新人作家を見つけての連載立ち上げにも、最初から挑戦させてもらっています。自分で見つけた作家さんが「これが見たかった!」と思わず叫びたくなるようなネーム(まんがの設計図)をつくってくれたときの喜びは、1年目にして早くも「この仕事を選んでよかった」と思わされる瞬間です。まんがアプリの仕事は、新人だろうと結果を出せれば既存のルールが覆るという刺激的な環境である反面、日々直面する問題の答えを誰も知らないという暗中模索が続く職場でもあります。そこにレールはなく、受け身でいれば置いていかれる恐怖もあります。だからこそ、「まだ誰も見たことがないものに挑む」という、編集者という仕事のいちばん根っこにある部分を存分に楽しめるのが、小学館のデジタルコミック部門の魅力だと思います。『マンガワン』という媒体も、そういった熱意が生んだ新たなチャレンジのひとつです。奇しくも、小学館の社歌の曲名は『ゼロのマーチ』。誰しもにゼロから1(ワン)を生み出すチャンスがある、それが小学館という会社の土壌です。

  • ニューヨークのメトロポリタン美術館にて。正直わけがわからないけれど、つい見入ってしまうエネルギーがあるポロックの絵。

  • 美味しいという噂を聞いて足を運んだニューヨークのロブスターの店。グルメもまんがも食わず嫌いはNG、まず自分で体験。

奇抜さだけが、新しさじゃない。

「新人」とは文字通り新しい人のこと。その肩書きがとれるまでに、どれぐらい「新しい」ことをやれるかの勝負だと感じています。ですが、そのときに忘れないようにしたいのが、「悩んだら王道に立ち戻る」ということです。新しさを目指そうとすると、得てして奇抜さと新しさを取り違えてしまうことがあると思います。しかし、名画や古典芸能のように多くの人の目に触れ、時代を超えて評価されてきた古典作品や型には、それ相応の強い魅力があると私は考えています。だからこそ、デジタルコミックのような最先端の分野では、時に一歩立ち戻るべきかどうかの判断が重要になると思います。たとえば、このままアプリ路線を推し進めていくのが正解なのか、あるいは一時代前のWebブラウザに回帰すべきなのかといったといった問いは枚挙に暇がありません。そのようなときに、長い歴史の中で培ってきたノウハウを参照してより確度の高い道を選べるのが、小学館を母体に新しいことへとチャレンジしていく利点だと考えています。新しいことに取り組むうえで古いものをないがしろにするのではなく、誰もが評価したものの魅力はどこにあるのかを探れる眼を養っていきたいです。

おもしろ層Q&A

Q.もし、小学館に入社していなかったら、何をしている?

A.今でもまんが家を目指していたと思います。それぐらい、まんが家になりたいという気持ちは強かったです。とはいえ、小学館、特に『マンガワン』は今までにない変化が次々に起こるのが強み。たとえば社員がまんがを描くような革新的な変化が起こるかもしれない現場です。それに惹かれて、結局は同じところにたどり着いていた気もします。

Q.もし、遊園地に速すぎるジェットコースターと、
遅すぎる観覧車しかなかったら、どっちに乗る?

A.絶叫マシンは大の苦手なので観覧車と言いたいですが、答えは速すぎるジェットコースター。出版社、特にまんがアプリのような流動性の高い現場だと、同じ時間の中で何回チャレンジできるかが新たな発見の鍵になると感じているからです。速すぎるジェットコースターでも、何度も乗れば新たな発見があるかも。

Q.もし、手に入るなら未来が読める能力と人の心が読める能力、どっち?

A.未来が読める能力です。変化の激しいアプリビジネスの現場だと、かなり役に立ちそうなので。心が読めるのも魅力的ではありますが、個人的に誰よりも先に情報を得られる優越感は抗いがたいものがあります。『マンガワン』の「先読み」機能が好評なのも、きっとそれが普遍的な欲求だからなのだと思います。

Q.おもしろい(interesting)ことと、おもしろい(funny)こと、
今どっちを求めてる?

A.Interestingなことです。まんがアプリではデータ分析が重要になりますが、住んでいる地域や年齢、アプリを開く時間帯など、思わぬ数値同士に関連性があることも多々あります。Interestingな関係性がどこにあるかについて、常にアンテナを張っています。

1日の仕事の流れ

  • 9時起床
  • 10時30分出社。メールチェック
  • 11時イラスト投稿サイトやSNSで新人作家探し
  • 12時自分で見つけた新人作家と打ち合わせ
  • 15時バナーや記事ページのラフ作成
  • 17時アプリ運営会社との定例会議
  • 18時その日の校了物を下版
  • 21時退勤
  • 24時アプリの更新確認
  • 26時就寝

※下版といっても印刷所に送られるものはほとんどなく、校了物はアプリ実装のためデータ化されアプリ運営会社へと送信される。

発掘!おもしろ層

『舞台』。映画や本と比べてあまり触れてこなかったのですが、最近何度か鑑賞する機会があり、役者さんのアドリブや観客の空気感でその1回限りの体験へと昇華されるライブ感に惹かれました。まんがアプリに特性が似ているかも。

3rd EYE サイト製作者は見た!

ゾクゾクは、蜜の味。

まんが家を目指し小学館への持ち込みをきっかけに、マンガワン事業室でのアルバイトを経て入社。そんな異色な経歴だけあって、新入社員らしからぬ落ち着きと明確なビジョンを持つ彼。「収益の分配や媒体としてのまんがのあり方に対して、もっとこうしたらいいのにと考えていたことが、日進月歩で改善されていくのを現場で見られたのが大きかった」と振り返る。まんがアプリという作品と読者の新たな出会いの場で、「まんが」のこれからを考え、より大きなアプローチで「まんが」に関わることができるいまの仕事。何かを変えることで、人の意識や世の中の常識が更新される、その変化の渦中で味わう「ゾクゾク感」を語るときの彼の生き生きとした表情が忘れられない。(by ネコ偏愛者・制作会社ディレクター)