小学館 RECRUIT 2021

職種別FAQ

- 編集

雑誌編集 - 児童学習誌

少子化ですが、児童書ではどういった取り組みをしていますか?
少子化そのものをどうこうすることはできません。学習まんがを含む児童書の売上はここ数年伸びており、少子化であっても、その分、親は少ない子どもに重点的に教育費を使うようです。 書籍内容の充実はもちろんのことですが、書籍情報をいかに効率よく伝えられるか、SNSの効果的な利用を含めた宣伝戦略、読者の需要にピンポイントで応えられるような市場調査が重要かと認識しています。 また、国内の学習塾との連携、外国市場への進出にも取り組んでいます。
出版不況といわれますが、紙にこだわり続けますか?
こだわり続ける部分と、デジタル化に柔軟に対応しなければならない部分があると感じています。私自身は児童学習局にいて、絵本や図鑑など、大半の出版物は子ども向けのものですので、紙でなければ伝えられないものもあると思っています。 たとえば絵本は、読み聞かせを通した親子のあったかいふれあい、お母さん、お父さん独自のテンポでページをめくる行為、そういったものは後世に残さなければいけない文化でもあるし、小学館が率先してやる必要があると思います。 一方で、デジタル化へのニーズにも対応するため、私がいる保育雑誌の編集部では、自ら動くことで保育者が使っているWebサイトの会社と協業し、記事配信をはじめました。小学館がもっている人脈でつくったしっかりした記事を、より多くの読者に届けることができます。 ものによって柔軟に見極めていくことが必要かなと思います。
女性誌と児童学習誌のご経験があるそうですが、ふたつの局で、やりがいは違いますか?
局の風土が違うので、やりがいもまったく違ってきます。女性誌は大所帯で、雑誌によっては100人くらいのスタッフが関わるので、チームでひとつの方向を向いて、一丸となって頑張るという達成感がありました。入稿のときはみんなで徹夜をして、明け方、朝ごはんを食べて帰宅……なんてことも昔はありましたが、とにかく楽しかったです。一方で今の局は、編集部は少人数ですが、雑誌をやりながら書籍も担当させてもらえることもあり、ひとりでひとつのことにじっくり取り組める良さがあります。スケジュールもある程度自分で管理できるので、子どもがいて時短勤務中の私の生活パターンにはぴったりです。また、書籍としてかたちになり、書店に並んだときの喜びはひとしおです。書店イベントなど、読者のみなさんに直接お目にかかる機会があるとき、やりがいを感じます。
教育専門誌の編集者は教員免許を持っているのですか?
編集部の中には教員免許を持っている人もいますが、私は持っていません。自分の経験からプランを考えることができませんが、男性が女性誌に配属されたりすることもあるのですし、どの仕事でも同じことです。学習指導要領を読んだり、書店の学校教育の棚で売れている本を読んだり、公開授業を見たり、先生が参加するセミナーに取材として参加したり、仲良くなった先生と食事をしながら本音を聞いたりして、企画を考えます。「自分が先生だったら、これを読んで授業ができるか? 子どもたちをまとめられるだろうか?」と考えながら、つくっています。私が実際に子どもたちの前で授業をすることはできませんが、未来を育てる教育の一端を担えていることは、やりがいに感じています。
学習まんがについて、昔と比べて進化している部分はありますか?
絵の新しさや情報の精度というところはもちろんありますが、たとえば1998年に刊行された小学館の『少年少女日本の歴史』と2018年刊の『世界の歴史』を比べてみると、別の視点で大きな違いがあることに気がつきます。日本の歴史は文字が多くて説明的。世界の歴史は絵を生かした心情描写や物語性をより意識したつくりになっています。テレビ番組にたとえて、前者を「情報番組型」、後者を「ドラマ型」と呼んでいます。どちらがよい、どちらが悪いといった話ではなく、どちらにも一長一短があると思っています。そういうことを理解したうえで、舵取りをするのが編集者の腕の見せどころの1つです。時代の影響も大きいかもしれませんが、編集者の個性のあらわれとも言えるかもしれませんね。
図鑑は何年ぐらいかけてつくるのですか?
少なくとも3年は必要ではないでしょうか。基礎的な情報収集からはじめ、原稿・イラスト執筆者の選定、掲載種のリスト作成だけでも、丸1年。撮影には季節も影響しますから、最低1~2シーズンは確保したいところです。デザインや校正の期間も考慮すると、やはり3年は欲しいですね。

雑誌編集 - コミック誌

新入社員が担当作家を持つまでの流れを教えてください。
あくまでうちの編集部の話ですが、配属されるとまず先輩編集者が担当している作品にサブ担当として付くことになります。そこから半年くらい、一緒に打ち合わせをしたり、単行本作業など一連の仕事を経験して、まんが家と信頼関係を築いたところで独り立ちとなります。
まんが編集者に必要な素質はありますか?
伝える相手が誰であれ、自分が「おもしろい」と思う作品には胸を張って「おもしろい」と言い、「つまらない」と思ったものには「つまらない」と言い張れるだけの度胸があること。また、そのために自分にとっての「“おもしろさ”とはなんなのか」が言語化されていることが大切かと思います。まんが家や編集長などと自分の立場を比べて、萎縮して、作品に対する感覚に嘘をついてしまっては、いい作品づくりはできません。
まんが編集の仕事でいちばん大変なことはなんですか?
「これをやっておけばおもしろくなる!」という正解がないので(そこが醍醐味でもあるのですが)、「おもしろい」を求めて常にもがき苦しんでいる感覚はあります。体力的に大変、ということはさほどないのですが、常にそういった苦しみはつきまといます。
学生時代にやっておいたほうがよいことはありますか?
ないですね。どこで何が役に立つかわからないので。作家との雑談の中で、ちょっとした経験の話からアイデアが出てくることもあるのです。ただ、しいて言うなら、「おもしろいと思う理由を考える」習慣はつけておいてもよいかもしれません。
映像化の方法と目的について教えてください。
少女まんがをつくるときに、映像化ありきで作品をつくることは稀だと思います。おもしろいまんがをつくって、それをより多くの方に手にとってもらうための手段の1つとして映像化があるので。社内の映像化窓口であるクロスメディア事業センターの担当者とも綿密な打ち合わせをして、ドラマ・映画化などの提案を検討したり、必要であれば作家の代理人として製作委員会や撮影現場に立ち会うこともあります。
青年誌ということで男性社員のほうが多いと思いますが、女性としての強みは何でしょうか?
女性が青年誌で働く強みはこれだ!と今すぐ思い浮かぶものは、正直ありません。しかし、裏を返せば「おもしろいと思う作品づくり」に関して、男女の有利不利は無いということだと思います。しいて言えば、先輩女性社員が女性コミック誌などで活躍している作家を青年誌に連れてきて連載を立ち上げ、「この作家さん、こんな作品も描けるんだ、おもしろい!」と驚かされることは、多々あります。
まんがの「読み手」から「つくり手」側になって変わったことは?
自分が担当している作品を「いかに世の中に届けるか」を日夜考えるようになりました。より良い作品になるよう、まんが家をサポートすることはもちろん大事なことです。ただ同時に、この出版不況の中で、「読んでもらう」ところまで持っていくことは同じくらいに大事なこと。書店の店頭で目立つにはどうしたらいいんだろう? SNSでバズるきっかけをつくれないか? この作品だからこそのおもしろいキャンペーンが何かできないか? ……素晴らしい作品を「つくる」だけでなく、「届ける」ことを同時に試行錯誤するようになりました。

雑誌編集 - ライフスタイル誌

通販の商品はどのようにして選ぶのですか?
ライフスタイル局の通販事業は『DIME』『BE-PAL』『サライ』3誌のブランドを統合して「大人の逸品」という名称で展開していて、関連会社の小学館集英社プロダクションと一緒に商品選定・仕入れからカタログ制作、販売までを一貫して行っています。商品選びについては、2か月に1回、商品会議を開いてバイヤーが集めてきた商材を一気に検討し、掲載すべきかどうかをチーム内で協議します。毎回100アイテムを超える提案の中から、媒体特性や顧客特性を考慮して絞り込みます。売れそうなものだけでなく、おもしろいものは極力残すというのが出版社通販のユニークなところかもしれません。また、既存の商品を仕入れて売るだけでなく、オリジナル商品を開発することもあります。たとえば今私が使っているトートバックも、有名な吉田カバンさんの協力を得てつくったオリジナルバッグです。他に財布や服などもつくっていますし、ちょうど私のほうではオリジナルの人参ジュースを開発しようと企画を進めているところです。出版社のなかで本づくりとは違ったモノづくりの楽しさを感じられる職場です。
ライフスタイル局についてお聞きします。「ライフスタイル」というと、「人の生活」。だとすれば、無数のいろいろなテーマが考えられると思うのですが、今の『サライ』とは違うテーマで、新しいライフスタイル誌をつくりたいと思ったりすることはないのでしょうか?
「ライフスタイル」には、「生活」という意味の他に、「生き方」という意味もあると考えています(編集長からもそのように繰り返し言われています)。「生活・生き方」をテーマにして、今担当している雑誌とは別の媒体をつくりたいと思う気持ちは、常にあります。そして、時々ですが、そうした新企画を、増刊やムックなどで実現できるチャンスもあります。
どのようにして、雑誌の企画やネタ、おもしろいテーマをさがすのですか? 企画を考えるために心がけていることはありますか? また、『サライ』の読者層が50~60代とお聞きして驚いたのですが、自分より高齢の読者に対して発信する企画を考えるのは難しくないのでしょうか?
若い頃は、人に会い、酒を呑んで話をすることが大事だと考えていました。それに加え今は、「ふつうの生活」をしっかりすることも大事だと思うようになりました。日常の食材の買い出しや炊事洗濯も企画のヒントになります。もちろん、旅行に行ったら、城や寺、そばの名店など『サライ」的な名所も訪れてみる。読書も役に立つ。日々思いついたキーワードをスマホにメモし、時間のあるときや、プラン会議の前などにリサーチしています。
現在、雑誌全体の売れ行きが芳しくありませんが、ライフスタイル誌では、どのような対策をしていますか?
確かに現在、雑誌の売れ行きは芳しくありません。そんな状況でも、ライフスタイル各誌は、魅力的な付録を付けたり、新しい特集企画にチャレンジしたりしながら、そのような状況を打破しようと努力しています。また、紙だけではなく、各誌Webなどのデジタルにも対応し、新しいビジネスをはじめています。たとえば、訪日中国人向けインバウンドサイトをローンチし、『DIME』、『サライ』、『BE-PAL』などの魅力的な記事を中国語に翻訳して、中国本土で配信しています。

雑誌編集 - 週刊誌・NEWS総合媒体

週刊誌編集のおもしろさ、魅力は?
1冊の週刊誌を読むと、本当に多くの人が登場しています。それだけに編集者もたくさんの人に会って取材をする必要があり、名刺1つで、政治家、スポーツ選手、芸能人など、各ジャンルでトップクラスの人に会うことができます。あと、雑誌編集だけやって終わりではなく、そこで出会った人脈を活用して単行本も担当している編集者がほとんどで、『下町ロケット』や『九十歳。何がめでたい』など、週刊誌発のベストセラー作品は多いです。
新聞と週刊誌の記事の違いはどんなところがありますか?
新聞の場合、起こった事件をそのまま報じるケースも多いと思いますが、週刊誌の場合、締切から発売までにタイムラグがあります。そこで、時間が経ってから読んでもおもしろいと思えるように、表層的な部分を報じるだけでなく、その背後に何があるのか、どんな影響があるのか、といったプラスαの視点を持って記事作りをしています。それはネットニュースでも同じで、単純に発表された事実だけを報じるケースは稀です。
『週刊ポスト』では政治や経済の記事がありますが、学生時代に政治学科や経済学科で学んでいる必要がありますか。
政治学科や経済学科の出身であることは必須条件ではありません。政治、経済に限らず、さまざまな分野について記事をつくる『週刊ポスト』では、幅広い知識が必要ですが、さまざまな分野に興味を持ち、学び続ける姿勢があれば、問題ありません。
週刊誌の編集部に女性はどのくらいいますか?
現在、社員編集者としては、『週刊ポスト』に2人、『女性セブン』は4割程度(6人)でしょうか。もちろん男性週刊誌でも、フリーの常駐編集者や記者の中には女性スタッフも多いので、女性は自分ひとりだけ、ということにはならないと思います。

雑誌編集 - ファッション誌

ファッション誌の編集者は最新トレンドを身につけたり、外見に気を遣わなければダメですか?
社外の人と会うときなどは、担当する雑誌の代表となるので、社会人として恥ずかしくないきちんとしたファッションを心がけます。ファッションが好きな人も多いのでトレンドを身につけていたりもしますが、強制されているわけではありません。デスクワークのときなどはカジュアルだったり、すっぴんの日も実はあります。
ファッション誌の編集をしていて、学生のときにこういうことをやっておけばよかった、身につけておけばよかった、と思うことはありますか?
出版社の仕事というのは、ほとんどの場合、特殊技能を必要としない仕事なので、何か特別なスキルを身につけておいたほうが職務上よかった、と思うことはなかったと思います。“就職”のための経験やスキルより、実際に仕事をするときに、自分の担当する雑誌や企画がどうしたら読者にとってより価値のある情報になるか、いいページになるかを突き詰めること、それに対して真摯に向き合えることのほうが、ずっと重要だと思います。あえて挙げるとすれば、女性誌に配属されると、あまり文章を書く訓練をしないうちから、少しずつですが文章を書くことになります。そのときに雑誌の文体や言葉のリズムがまったくわからないと、少し苦労します。そのため、好きな雑誌をたくさん読んでおくことが、やっておいたほうがいいことともいえるかもしれません。
毎月のプランはどのようにつくるのでしょうか?
だいたい1人15~20本ほど月にプランを提出していますが、編集者によって情報の集め方は違います。たとえば新作のファッション情報が欲しいのであればプレスへ直接足を運んで話を伺ったり、読者層の女性にランチタイムだけ取材させていただいてプランに活かすなど、方法はさまざま。共通していることは「女性から直接生の声を聞くこと」。SNSで流行っている人・ものがあれば連絡をお取りして少しだけでもお話しさせていただくなど、裏付けのある声に勝るものはありません。
新人の編集者に求めることはありますか?
デジタルが生活の軸になっている現状は、若い皆さんにとってチャンスとも言えるはず。デジタルや新しいカルチャーに対してより敏感な感性をおもちだからこそのアイデアで、ファッション誌を盛り上げてくださるとうれしいです。

書籍編集

仕事相手に求めることはなんですか?
こちらの想像していた以上におもしろい原稿を書いてもらいたい、と常に思っていますが、同時に、締切を守っていただくこともとても大切です。
仕事でやりがいを感じるのはどんなときですか?
読者の方々が、作品をおもしろがって読んでくれているという反応が見えるときですね。今はSNSなどで直接反応が見えるので、便利ですね。
作家さんに執筆を依頼する際には、書きたいものを書いてもらうのでしょうか? それとも編集者から提案をするのでしょうか?
あくまでも私の場合ですが、作家に会いに行くときには、テーマや切り口を何かしら提案するようにしています。その作家の既刊を読んだ上で、新しくどんなテーマに挑戦してもらったらおもしろいものになるのか、書き手の持ち味が出るのかを考えています。そのために、日々生活する中で、ニュースや友人との会話で気になったことなどを頭の中にストックしています。
自分のやりたい企画はどんな部署でも提案でき、実現できるのでしょうか?
小学館は、比較的自分の企画を通しやすい環境にあると思います。もちろん、部署での仕事を優先させることが大事ですが、自分の熱意さえあれば、提案ができる環境にあると思います。あとは、その企画が本当に素晴らしく、意義がある企画かどうかが大事。企画を実現するためには、まず社内の人に自分の企画がいかに素晴らしいのかを伝え、説得できる材料をそろえなくてはなりません。世間で流行っているとか、これだけの人がその情報に関心があるとか、データもしっかりとってプレゼンする必要があります。
他の出版社と比べて、小学館の児童書の強味は何でしょうか?
まず、『ドラえもん』や『ポケモン』『名探偵コナン』など、人気キャラクターの存在です。まんがやゲーム攻略本、アニメや映画の関連本はもちろん、絵本、知育・学習、趣味まで出版物の幅が広がります。また、学年誌や学習ものの分野で歴史と実績があるので、中身の濃い本づくりができること。さらに、書籍、雑誌、教育、辞典など、複数の編集部で連携した企画が生まれることなどです。
ライトノベルならではの仕事のおもしろさって何ですか?
同じくらいの重要度で、イラストと文章が存在していることでしょうか。たとえば、固い文章に固いイラストをつけることもできますし、逆に固い文章に柔らかい(萌え系の)イラストをつけることもできます。複数のクリエイターが組んでいるからこそ、作品としての仕上がりは千変万化する。それがライトノベルのおもしろさだと思いますし、プロデュースするライトノベル編集の仕事のおもしろさでもあると思います。