小学館 RECRUIT 2021

吉本 有李Yuri Yoshimoto

第二コミック局 少年サンデー

異動履歴
2019年入社/新入社員

画家の父のもとに生まれ、幼い頃から表現者の苦悩を目の当たりにしてきました。「何かを表現する」ために人生を賭ける人々が尊すぎて、それを支える仕事があると知った時は体に電流が走りました。なので就活は編集者一本。僕自身も狂言やらピアノやらを習っていましたが、いかんせん湧き出る情熱はなく。今の役割が楽しいです。

作家との共同作業。
やりがいしかないやろがい。

就活中、まんが編集者の仕事は「まんがを描く以外のすべて」なのだと、何度か耳にする機会がありました。実際に体感してみて思ったのは、うわ、事実だ!という事。毎週作品を完成させなければならない(しかもおもしろいものを!)作家という仕事は想像を絶する過酷さで……、常に作品に集中しなければ到底成り立ちません。つまり作家が安心して自分の作品に注力できるよう、それ以外の負担をすべて肩代わりするパートナーが編集者、という訳です。より多くの読者に届けるための施策を考えたり、読者の方々に最も刺さる展開は何かと必死で考えたり、デビュー前の新人作家と賞を狙うべくシビアな打ち合わせをしたり。人の人生を背負っているという感覚があります。これほど責任の大きい仕事で、新入社員としてまだまだ全然追いついていない部分は多いのですが、それでも「まんがを描く以外のすべて」という、大変さとやりがいが表裏一体になった仕事……、地道な作業の果てにある、人に作品を届けるという快感。この正解のない感じが楽しいんだと思います。先輩を見ていても皆、この快感に脳が焼かれています(もちろんいい意味で)!

フォント表。無闇に変えれば良いわけでもないのが難しい所!
フォント表。無闇に変えれば良いわけでもないのが難しい所!

私の1日

10:00
起床
11:30
出社、メールチェックなど
13:00
新人作家と次作の打ち合わせ
14:00
新世代サンデー賞の応募作品を読み、採点
15:00
記事ページのラフを切る
意外と地道な作業も多い本作り。カッターと定規は基本アイテム
意外と地道な作業も多い本作り。
カッターと定規は基本アイテム
17:00
作家と社外で打ち合わせ
20:00
デザイナーと電話で相談
21:00
新人作家のネーム(ラフコンテ)やプロットを読み、打ち合わせ
26:00
就寝

夢の中でもアンテナを。

映画を見たりまんがを読んだり。物語作りのためにそうしたインプットは欠かせない一方で、無意識に培われていく経験も大事だなと実感しています。それは「インプットしよう」と思ってやることだけではなくて、ちょっとしたイベントや流行りの展覧会に遊び感覚で足を運んでみたり、大学の同期と飲みながら仕事について聞いてみたり、そんな所にこそアイデアの可能性があったりします。企画ってつい、ゼロからイチを作り出すものだと考えてしまいがちですが、イチになる“タネ”が世の中にたくさん転がっていて、それを拾い集めるのが仕事なんだと考えると、電車に乗ること1つとってもちょっとワクワクしますよね。要するに四六時中アンテナを張っていないといけない、どこからが仕事でどこからがプライベートなのか境界線が曖昧な、「ワークライフバランス」ならぬ「ワークライフフュージョン」という趣ですが……。そもそもまんがという表現手段自体、日常を調理するからおもしろいのであって。どうあがいても分けられるはずがないよなー!

この間““仕事で””作ったカレーです。いつもより緊張感が。
この間““仕事で””作ったカレーです。いつもより緊張感が。

あらゆる作家を扱える、『才能の“ハブ”』を目指す。

編集部には本当にいろいろなタイプの方がいます。先日編集部の合宿で、先輩方の編集論を伺う機会があったのですが、まあ意見が割れる割れる! それぞれまったく違う方程式でいい作品を作り上げる様を見て、編集の世界には“正解らしきもの”すらないのだなと痛感しました。それでも、「作家の眠れる才能を掘り起こす」ために全力を尽くしている所は皆同じ。そこは個々人のもつ哲学であり、ポリシーであり、キャラクターであり……これまでの人生で培ってきたものをすべて使って、仕事をしています。
孤独に戦い心が折れた画家の父。編集者のような、制作を支えるパートナーがいれば絶対に結果は違ったよなと確信しています。十人十色で物事を進めていくこの“雑味”こそ、小学館の魅力だと思いますし、だからこそその中で、あらゆる才能を取りこぼさない、「才能の“ハブ”」でありたい。おそらく何度も失敗し絶望することにはなるのですが……僕の人生で培ってきたものを考えると、これ以上の生きる意味はないと思っているので、負けずに奮闘します!

サンデーの書庫。奥にもまだまだ詰まってます。
サンデーの書庫。奥にもまだまだ詰まってます。

MOVIE

ずっとずっと夢みる大人への一問一答

  • 昔からずっとずっと変わらないあなたの癖はなんですか?

    ついつい落書きしてしまう癖。手を動かしていると何か思いついたりするので、悪い癖ではないよね……。

  • ドラえもんがいたらどんな道具を出してもらいますか?

    ニクメナイン。
    「憎まれない人間」になったらこれもう、この世のいちばん難しい所をクリアしてますよ。

  • 大人になったな〜と思う瞬間はどんなとき?

    「我慢」を覚えつつあります! 「偉い、今我慢したな!」と自分を褒めて伸ばしています(そこはまだ子ども)。

  • 最近、就寝中に見た夢を教えて下さい。

    めちゃくちゃラブコメの主人公を
    やってました(恥)。

就活生のみなさんへ

出版社を受けようと考えているあなたは、おそらくどこか世間とズレた感性をもっているはず。そのズレに、いかに誇りをもって挑むかが勝負です!! 「他人と違う部分」=長所といっても過言ではないエンタメの世界……節度は必要とはいえ、「こんなこと言っていいのかな」などどうでもいい遠慮はすぐ捨てて、“受け手に興味をもってもらうこと”を全力で考えましょう。それはまんが作りの感覚にも似ています。エンタメ就活、頑張ってください!