職種別FAQ 編集

雑誌編集 -
児童学習誌

少子化ですが、児童書ではどういった取り組みをしていますか?

少子化そのものをどうこうすることはできません。児童書の売上はここ数年伸びており、少子化であっても、その分、親は少ない子どもに重点的に教育費を使うようです。 内容の充実はもちろんのことですが、書籍情報をいかに効率よく伝えられるか、SNSの効果的な利用を含めた宣伝戦略、読者の需要にピンポイントで応えられるような市場調査が重要かと認識しています。また、国内の学習塾との連携、外国市場への進出にも取り組んでいます。

あなたが感じる小学館の「強み」を教えてください。

児童誌・絵本・図鑑から『コロコロコミック』『ちゃお』まで、子ども向けコンテンツの層が厚いこと。大人が四六時中、子どもの「楽しい」を考えて本気で向き合っているのは、とても素敵な文化だと思います。編集会議でも、目を輝かせながら「こんな企画できたら楽しくない!?」と語りあっています。
そうやってできあがった雑誌や本が、子どもたちの心に刺さって、成長して次の世代のコンテンツを生み出していく……そんなわくわくする連鎖の一部を担っていることが、小学館の魅力だと感じます。

女性誌と児童学習誌のご経験があるそうですが、ふたつの局で、やりがいは違いますか?

局の風土が違うので、やりがいもまったく違ってきます。女性誌は大所帯で、雑誌によっては100人くらいのスタッフが関わるので、チームでひとつの方向を向いて、一丸となってがんばるという達成感がありました。入稿のときはみんなで徹夜をして、明け方、朝ごはんを食べて帰宅……なんてことも昔はありましたが、とにかく楽しかったです。一方で今の編集部は少人数ですが、雑誌をやりながら書籍も担当させてもらえることもあり、1人で1つのことにじっくり取り組める良さがあります。スケジュールもある程度自分で管理できるので、子どもがいて時短勤務中の生活パターンにはぴったりです。また、書籍としてかたちになり、書店に並んだときの喜びはひとしおです。書店イベントなど、読者のみなさんに直接お目にかかる機会があるとき、やりがいを感じます。

小学館に入ってよかったと思うのはどんなところですか?

女性誌志望で入社し、希望の職場に配属されました。子どもをもって、自分の子育て経験を生かしたいという思いと、教育や育児関連への関心が高まったことなどもあって児童学習局への異動を希望し、『HugKum』という子育てサイトを担当しています。自分の興味やライフスタイルの変化に合わせて、仕事内容の選択肢があるというのが総合出版社ならではの良さだと思います。

他の育児サイトと比べて『HugKum』ならではの強みはなんですか?

長年子どもの本を作り続けてきた“小学館”の育児サイトであるという、信頼度やブランド力がいちばんの強みだと思います。年齢別の子どもに向けたていねいなものづくりをしてきたノウハウや、過去の書籍・雑誌連載などアーカイブの蓄積を記事化できるという利点も。そしてなにより、保育や教育関連の有識者や医師・助産師など、その道のプロの監修に基づいた、良質な記事を配信していることに関しては自信があります。
また、サイトだけでなく、『ベビーブック』『めばえ』『幼稚園』『小学一年生』や『小学8年生』との連携や、小学館集英社プロダクションの通信教材や教室などとも連携した企画立案が可能な点も強みと言えます。

教育専門誌の編集者は教員免許をもっているのですか?

編集部の中には教員免許をもっている人もいますが、全員ではありません。自分の経験からプランを考えることができませんが、男性が女性ファッション誌に配属されたりすることもありますし、どの仕事でも同じことです。学習指導要領を読んだり、書店の学校教育の棚で売れている本を読んだり、公開授業を見たり、先生が参加するセミナーに取材として参加したり、仲良くなった先生と食事をしながら本音を聞いたりして、企画を考えます。「自分が先生だったら、これを読んで授業ができるか? 子どもたちをまとめられるだろうか?」と考えながら、作っています。私が実際に子どもたちの前で授業をすることはできませんが、未来を育てる教育の一端を担っていることは、やりがいに感じています。

学習まんがについて、昔と比べて進化している部分はありますか?

絵の新しさや情報の精度というところはもちろんありますが、たとえば1998年に刊行された小学館の『少年少女日本の歴史』と2018年刊の『世界の歴史』を比べてみると、別の視点で大きな違いがあることに気がつきます。日本の歴史は文字が多くて説明的。世界の歴史は絵を生かした心情描写や物語性をより意識したつくりになっています。テレビ番組にたとえて、前者を「情報番組型」、後者を「ドラマ型」と呼んでいます。どちらが良い、悪いといった話ではなく、どちらにも一長一短があると思っています。そういうことを理解したうえで、舵取りをするのが編集者の腕の見せどころの1つです。時代の影響も大きいかもしれませんが、編集者の個性のあらわれとも言えるかもしれませんね。

図鑑は何年ぐらいかけて作るのですか?

基礎的な情報収集からはじめ、原稿・イラスト執筆者の選定、掲載種のリスト作成で、丸1年。撮影には季節も影響しますから、最低1~2シーズンは確保したいところです。デザインや校正の期間も考慮すると、3年は欲しいですね。

雑誌編集 -
コミック誌

新入社員が担当作家を持つまでの流れを教えてください。

まず先輩編集者が担当しているまんが家のサブ担当として付くことになります。そこから半年くらい、一緒に打ち合わせをしたり、単行本作業など一連の仕事を経験して、まんが家と信頼関係を築いたところで独り立ちとなります。

まんが編集者に必要な素質はありますか?

伝える相手が誰であれ、自分が「おもしろい」と思う作品には胸を張って「おもしろい」と言い、「つまらない」と思ったものには「つまらない」と言い張れるだけの度胸があること。また、そのために自分にとっての「“おもしろさ”とはなんなのか」が言語化されていることが大切だと思います。まんが家や編集長などと自分の立場を比べて、萎縮して、作品に対する感覚に嘘をついてしまっては、いい作品づくりはできません。

まんが編集の仕事でいちばん大変なことはなんですか?

「これをやっておけばおもしろくなる!」という正解がないので(そこが醍醐味でもあるのですが)、「おもしろい」を求めて常にもがき苦しんでいる感覚はあります。体力的に大変、ということはさほどないのですが、常にそういった苦しみはつきまといます。

学生時代にやっておいたほうがよいことはありますか?

ないですね。どこで何が役に立つかわからないので。作家との雑談の中で、ちょっとした経験の話からアイデアが出てくることもあるのです。ただ、しいて言うなら、「おもしろいと思う理由を考える」習慣はつけておいてもいいかもしれません。

映像化の方法と目的について教えてください。

映像化ありきで考えることは稀だと思います。おもしろいまんがを作って、それをより多くの方に手にとってもらうための手段の1つとして映像化があります。社内の映像化窓口であるクロスメディア事業センターの担当者と綿密な打ち合わせをして、ドラマ・映画化などの提案を検討したり、必要であれば作家の代理人として製作委員会や撮影現場に立ち会うこともあります。

恋愛経験が作品づくりに生きることはありますか?

作家との打ち合わせの中で、なにかアイデアの足しになればと、自分の恋愛エピソードを例え話にもち出すこともあります……(笑)。 たとえ恋愛経験が豊富でなくても、恋愛に対して「こんなことがあれば良かったのに」という願いや欲望が、企画を考えたり作家と打ち合わせする中で生きることもたくさんあります。

青年誌ということで男性社員のほうが多いと思いますが、女性としての強みは何でしょうか?

女性が青年誌で働く強みはこれだ!と今すぐ思い浮かぶものは、正直ありません。しかし、裏を返せば「おもしろいと思う作品づくり」に関して、男女の有利不利は無いということだと思います。しいて言えば、先輩女性社員が女性コミック誌などで活躍している作家を青年誌に連れてきて連載を立ち上げ、「この作家、こんな作品も描けるんだ、おもしろい!」と驚かされることは、多々あります。

まんがの「読み手」から「つくり手」側になって変わったことは?

自分が担当している作品を「いかに世の中に届けるか」を日夜考えるようになりました。より良い作品になるよう、まんが家をサポートすることはもちろん大事なことです。ただ同時に、この出版不況の中で「読んでもらう」ところまでもっていくことは同じくらいに大事なこと。書店の店頭で目立つにはどうしたらいいんだろう? SNSでバズるきっかけをつくれないか? この作品だからこそのおもしろいキャンペーンが何かできないか? ……素晴らしい作品を「つくる」だけでなく、「届ける」ことを同時に試行錯誤するようになりました。

入社前どのくらいまんがを読んでいましたか?どのくらい読んでいたほうがいいですか?

読んできた量は関係ないと思います。
出版社を受ける人はもともと本好きな人が多いので、読書量で他の就活生と差はあまりつかないのではと思っています。おすすめは、今まで読んだまんがを書き出してみて、好き/嫌いに分けてみることです。嫌いなまんがに一定の傾向があったりすると、逆に「こういうまんがが好きで、つくりたい」という思いを具体化するきっかけになります。自分が好きなもの、つくりたいものがはっきりしていれば、量を読む必要はないと思います。

他のまんがアプリと比較してマンガワンの強みは?

基本、全部無料で読めるので、DAU(1日にアプリを利用した人の数)が多く継続率も高いという点があげられます。また、「ちょい足し」や「コメント」機能を早期に実装しており、作家と読者、読者と読者がコミュニケーションできるため、ユーザーに「自分の居場所」であるという感覚をもたせられていると思います。

電子まんが媒体ならではの仕事のおもしろさはなんですか?

読者の反応を素早く、そしてダイレクトに感じられるところです。まんがアプリでは、作品が公開されてすぐに閲覧数や応援コメントという形で読者の反応を知ることができます。そうした反応を作家とともに研究し、新たな話に活かすことで、より大きな反響・人気を得られたときの充足感は格別です。

アプリであることを踏まえた作品づくりの狙いは?

特にまんがアプリの読者に見られる特性として「特定の作品を目当てにアプリを起動し、読み終わったら離脱する」という直行直帰と、無料で読んでいるため、1ページでもつまらないと思ったら読むのをやめてしまうという傾向があります。
そのため、毎回衝撃的な展開を盛り込み、いわゆる説明回・充電回を敢えてつくらないということを意識しています。

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ライフスタイル誌

「ライフスタイル」というと、「人の生活」。だとすれば、無数のいろいろなテーマが考えられると思うのですが、今の『サライ』とは違うテーマで、新しいライフスタイル誌をつくりたいと思ったりすることはないのでしょうか?

「ライフスタイル」には、「生活」という意味の他に、「生き方」という意味もあると考えています(編集長からもそのように繰り返し言われています)。「生活・生き方」をテーマにして、今担当している雑誌とは別の媒体をつくりたいと思う気持ちは、常にあります。そして、時々ですが、そうした新企画を、増刊やムックなどで実現できるチャンスもあります。

どのようにして、雑誌の企画やネタ、おもしろいテーマをさがすのですか? 企画を考えるために心がけていることはありますか? また、『サライ』の読者層が50~60代とお聞きして驚いたのですが、自分より高齢の読者に対して発信する企画を考えるのは難しくないのでしょうか?

若い頃は、人に会い、酒を呑んで話をすることが大事だと考えていました。それに加え、「普通の生活」をしっかりすることも大事だと思うようになりました。日常の食材の買い出しや炊事洗濯も企画のヒントになります。もちろん、旅行に行ったら、城や寺、そばの名店など『サライ』的な名所も訪れてみる。読書も役に立つ。日々思いついたキーワードをスマホにメモし、時間のあるときや、プラン会議の前などにリサーチしています。

現在、雑誌全体の売れ行きが芳しくありませんが、ライフスタイル誌では、どのような対策をしていますか?

魅力的な付録を付けたり、新しい特集企画にチャレンジしたりしながら、そのような状況を打破しようと努力しています。また、紙だけではなく、各誌Webなどのデジタルにも対応し、新しいビジネスをはじめています。たとえば、訪日中国人向けインバウンドサイトをローンチし、『DIME』、『サライ』、『BE-PAL』などの魅力的な記事を中国語に翻訳して、中国本土で配信しています。

デジタルの台頭を雑誌編集者としてどう感じますか?

雑誌や単行本だけでなく、カスタマイズした小冊子、Webメディア、イベント、SNSなど、アピールしたいことをどの手法で伝えていくか、「紙」の域を超えた編集力が必要とされていると感じます。
一方、多様性ある事柄それぞれに、「最もフィットした発信手段は何か」と独自の切り口を掛け合わせて表現できる選択肢が増えたのは楽しみでもあります。

やりたいことができる会社ですか?

「やりたいことを仕事にできるか」は、その人次第だと思います。自分がやりたいことを会社の利益になると思われるような企画に組み立てることができるかどうか。そして、それが実現するように、関係者や周りの人を説得し、推進していくことができるかどうか次第です。気力、行動力、粘り強さ、交渉力、調整力など、さまざまな力が必要ですが、それでも「やりたいこと」があるのであれば、この会社の中で、実現するチャンスは充分にあると思いますし、応援してくれる人も多いはずです。

雑誌編集 -
週刊誌・NEWS総合媒体

週刊誌編集のおもしろさ、魅力は?

1冊の週刊誌を読むと、本当に多くの人が登場しています。それだけに編集者もたくさんの人に会って取材をする必要があり、名刺1つで、政治家、スポーツ選手、芸能人など、各ジャンルでトップクラスの人に会うことができます。あと、雑誌編集だけやって終わりではなく、そこで出会った人脈を活用して単行本も担当している編集者がほとんどで、『下町ロケット』や『九十歳。何がめでたい』、『70歳のたしなみ』など、週刊誌発のベストセラー作品は多いです。

週刊誌というと、「ネタ」「スクープ」を集めるために奔走する、というイメージがありますが、どうやって情報を集めるのですか?

集め方は人によってさまざまですが、「人に会って話を聞くこと」が基本だと思います。ネット検索で出てこない情報を得るためには、情報に近い関係者から話を聞くことが必要です。そのために、日頃からメディア関係者はじめさまざまな人と交流をもつよう意識しています。
あとは、世の中で起きた大きなニュースに、どのような角度をつけて報じれば読者が興味をもって読んでくれるか、を意識するようにしています。
「コロナウイルスの感染が始まっている」といった既報のものでも、「感染を防ぐ食生活は何か」「感染が広がるとどんなパニックが起きると想定されるか。何が原因なのか」「感染しないためには何をしたら良いのか」「本当に正しいマスクの付け方は何か」など、角度をつけて取材をすすめることで新たな情報を得られることもあります。スクープにはさまざまな定義があり、有名人の不倫や熱愛だけでなく、企業の不正、新薬の開発事情、新たな流行店など、読者の知らない話(かつ知りたいと思うであろう話)はすべてスクープになります。世の中の人が何を読みたがっているのかを読み解くことが重要だと、痛感しています。

テレビ、新聞と週刊誌の記事の違いには、どんなところがありますか?

テレビと新聞の場合、起こった事件をそのまま報じるケースも多いと思いますが、週刊誌の場合、締切から発売までにタイムラグがあります。そこで、時間が経ってから読んでもおもしろいと思えるように、表層的な部分を報じるだけでなく、その背後に何があるのか、どんな影響があるのか、何かの事象が起きたとき、当事者やその周囲の人間は何に喜び、何に怒り、何に悲しんでいるのか、といったプラスαの視点をもって記事作りをしています。それはネットニュースでも同じで、単純に発表された事実だけを報じるケースは稀です。

週刊誌はなぜ当事者やファンが望まないスキャンダルまで書くのですか?

そこに「等身大の姿」があるからだと思います。著名人にとって、テレビや新聞のインタビューは、基本的に「自分を格好良く見せる」ために存在しています。みな控えめに、謙遜しながらもいい話しかしない。しかし、人間は多面体であり、崇高な理念を語った社長が脱税をすることもあれば、夫婦円満な姿をアピールするタレントが時に不倫に走ることもある。そこに、どうしようもない人間らしさがあります。「あぁ、あの人も同じ人間なんだ」と思える。だから報じる。
ただし、私たちができることは、「こういうことを言っていた(やっていた)人が、別の場面ではこういうことをしていました」というファクトを提示するまで。決して裁きはしないというのが、矜恃でもあります。

週刊誌は体力が必要なイメージですが、徹夜続きなのでしょうか

そんなことはまったくありません。仕事の性質上、週に一度締切日がやってくるので、深夜まで勤務することはありますが、それ以外で徹夜になることはまずない。とくに新入社員や若手のうちは、どれだけ社外で人に会って鮮度の高い情報に触れられるかが重要なので、会社にいる時間は短くていいし、むしろそれを推奨する部署です。

『週刊ポスト』では政治や経済の記事がありますが、学生時代に政治学科や経済学科で学んでいる必要がありますか。

政治学科や経済学科の出身であることは必須条件ではありません。政治、経済に限らず、さまざまな分野について記事をつくる『週刊ポスト』では、幅広い知識が必要です。さまざまな分野に興味をもち、学び続ける姿勢があれば、問題ありません。

週刊誌の編集部に女性はどのくらいいますか?

現在、社員編集者としては、『週刊ポスト』に3人、『女性セブン』は6人です。もちろん男性週刊誌でも、フリーの常駐編集者や記者の中には女性スタッフも多いので、女性は自分1人だけ、ということにはならないと思います。

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ファッション誌

ファッション誌の編集者は最新トレンドを身につけたり、外見に気を遣わなければダメですか?

社外の人と会うときなどは、担当する雑誌の代表となるので、社会人として恥ずかしくないきちんとしたファッションを心がけます。ファッションが好きな人も多いのでトレンドを身につけていたりもしますが、強制されているわけではありません。デスクワークのときなどはカジュアルだったり、すっぴんの日も実はあります。

ネットで簡単にファッションや美容の情報を得られる時代に、それでも雑誌を手にとってもらうための工夫はなんですか?

時間をかけてプロが作ることによる情報密度の濃さと、正確さ、それによってもたらされる雑誌への信頼感が大事だと思っています。あとは、雑誌ならではの美しい写真、新色ブックのような大量の商品を手軽に見比べることができる利便性、実用度の高い付録、など。特に付録は各誌しのぎを削っている部分でもあり、だからこそ「掲載されている情報は正しい」「商品への反響がある」と読者にもクライアントにも思ってもらえる誌面作りを心がけています。

ファッション誌の編集をしていて、学生のときにこういうことをやっておけばよかった、身につけておけばよかった、と思うことはありますか?

出版社の仕事というのは、特殊技能を必要としない仕事なので、何か特別なスキルを身につけておいたほうが職務上良かった、と思うことはないと思います。“就職”のための経験やスキルより、実際に仕事をするときに、自分の担当する雑誌や企画がどうしたら読者にとってより価値のある情報になるか、いいページになるかを突き詰めること、それに対して真摯に向き合えることのほうが、ずっと重要だと思います。あえて挙げるとすれば、女性誌に配属されると、あまり文章を書く訓練をしないうちから、少しずつですが文章を書くことになります。そのときに雑誌の文体や言葉のリズムがまったくわからないと、少し苦労します。そのため、好きな雑誌をたくさん読んでおくことが、やっておいたほうがいいことといえるかもしれません。

毎月のプランはどのようにつくるのでしょうか?

だいたい月に1人15~20本ほどプランを提出していますが、編集者によって情報の集め方は違います。たとえば新作のファッション情報が欲しいのであれば各ブランドのプレスへ直接足を運んで話を伺ったり、ランチタイムに読者層の女性に取材してプランに活かすなど、方法はさまざま。共通していることは「女性から直接生の声を聞くこと」。SNSで流行っている人・ものがあれば連絡を取って少しだけでもお話しするなど、裏付けのある声に勝るものはありません。

新人の編集者に求めることはありますか?

デジタルが生活の軸になっている現状は、若い皆さんにとってチャンスとも言えるはず。デジタルや新しいカルチャーに対してより敏感な感性をおもちだからこそのアイデアで、ファッション誌を盛り上げてくれるとうれしいです。

書籍編集

仕事相手に求めることはなんですか?

こちらの想像していた以上におもしろい原稿を書いてもらいたい、と常に思っています。同時に、締切を守っていただくこともとても大切です。

仕事でやりがいを感じるのはどんなときですか?

読者の方々が、作品をおもしろがって読んでくれているという反応が見えるときですね。今はSNSなどで直接反応が見えるので、便利です。

担当する本をどんな思いで編集・制作していますか。

心構えとして、最後まで「もっと良いものができるのでは?」と考え、誠実に事にあたります。いつまでも向上心を忘れないようにしています。

作家さんに執筆を依頼する際には、書きたいものを書いてもらうのでしょうか? それとも編集者から提案をするのでしょうか?

あくまでも私の場合ですが、作家に会いに行くときには、テーマや切り口を何かしら提案するようにしています。その作家の既刊を読んだうえで、新しくどんなテーマに挑戦してもらったらおもしろいものになるのか、書き手の持ち味が出るのかを考えています。そのために、日々生活する中で、ニュースや友人との会話で気になったことなどを頭の中にストックしています。

自分のやりたい企画はどんな部署でも提案でき、実現できるのでしょうか?

小学館は、比較的自分の企画を通しやすい環境にあると思います。もちろん、部署での仕事をしっかりつとめることが大事ですが、自分の熱意さえあれば、提案ができる環境にあると思います。あとは、その企画が本当に素晴らしく、意義がある企画かどうかが大事。企画を実現するためには、まず社内の人に自分の企画がいかに素晴らしいのかを伝え、説得できる材料をそろえなくてはなりません。世間で流行っているとか、これだけの人がその情報に関心があるとか、データもしっかりとってプレゼンする必要があります。

文芸編集者になりたい人におすすめの本はありますか?

スティーブン・キング『書くことについて』~苦闘時代からベストセラー作家になるまでを綴った「文章読本」です。
早見和真『小説王』~幼なじみの編集者と作家が、傑作をものにするため苦闘していくエンタテインメントです。

ライトノベルならではの仕事のおもしろさとはなんですか?

同じくらいの重要度で、イラストと文章が存在していることでしょうか。たとえば、固い文章に固いイラストをつけることもできますし、逆に固い文章に柔らかい(萌え系の)イラストをつけることもできます。複数のクリエイターが組んでいるからこそ、作品としての仕上がりは千変万化する。それがライトノベルのおもしろさだと思いますし、プロデュースするライトノベル編集の仕事のおもしろさでもあると思います。