FAQ 職種別FAQ デジタル/ライツ・クロスメディア

デジタル

デジタルコミックスの営業と紙のコミックスの営業のいちばんの違いはなんですか?

いちばんの違いはデジタルにおいては「在庫切れ」が起こらないという点です。電子書籍ストア上では小学館から配信している2万冊超の作品が常に販売状態にあります。そのため、紙のコミックスで新刊の売上を重視するのとは違い、デジタルの場合は既刊をいかに売り伸ばすかに関しても重視することになります。

小学館のデジタル事業局で働くにあたって、特殊なスキルは必要でしょうか?

たとえばプログラミング言語やマークアップ言語に対する知見があることは強みにはなりますが、必須ではありません。「自分や周りの人々がどのようにデジタルと接しているか」という若い世代の実体験こそが強い武器となるので、日頃から客観的な視点でデジタルとの関わりを観察してほしいと思います。

1つの雑誌を例に取った場合、コンテンツ営業室とWebプロデュース室でそれぞれ何をしていますか?

たとえばファッション誌の『Oggi』の場合、本誌をKindleやdマガジンなどに配信する手配をして、売上を伸ばす施策を検討するのがコンテンツ営業室。Oggi.jpのカテゴリーを決めたりアクセス数を向上させてWebの価値を高める施策を検討するのがWebプロデュース室です。

デジタル事業局に新入社員が配属されることはありますか?

入社後2、3年目で電子コンテンツを扱うコンテンツ営業室などに異動してくることはよくあります。異動前の編集部の電子化に関われば、編集部で培った知識が非常に役立ち、すぐに活躍できるはずです。Webメディアのグロース施策などを扱うWebプロデュース室に新卒からの若い世代が入ってきたことはありませんが、全社的にデジタルリテラシーを向上させるために、研修を行っています。今後そういった研修を経た新入社員が配属される可能性はありうると思います。

デジタルで売れる作品の特徴は?

普段まんがを読まない人が「暇だなあ」と少し時間が空いたときに、その場で手元のスマホで気軽に読めるのがデジタルのメリットです。ライトユーザーにいかに買ってもらうかが勝負なので、読みやすさという観点は必要です。それが絵なのか、話の入り易さなのかなどは一概には言えないですが、「気軽に読める」というのはキーワードだと思います。そういった点を編集者と共有していくことを心掛けています。

Webサイトは収益をどのようにあげるのですか?

「アドネットワーク」と「タイアップ」の2つに大きく分類できます。アドネットワークはサイトに訪問してくれる人の数を増やすことで売上をアップすることができ、タイアップはサイトのブランド価値を認めてくださった企業からの広告収入です。

ライツ

ライツのお仕事で充実感を感じた瞬間はなんですか?

作家から契約書内容について難しい変更を迫られたときに、こちらの知識をフル動員して説明内容を作成し、編集者を通じてメールで作家に転送してもらったら、あっさりご理解いただけたうえに、「丁寧なご説明をありがとうございます」とお礼を言われたようなときですね。

国際ライツの具体的な仕事内容を教えてください。

基本的には、担当地域において現地出版社から小学館の刊行物の刊行希望があった場合、その内容を検討し、問題がなければ契約書を整えたうえで契約を結びます。契約後は、印刷前に現地出版社から送られてくる監修物(まんがのカバーや奥付など)をチェックし、クレジットや内容に問題がないかチェックをします。また、現地のブックフェアやまんがイベントなどに作家が招待された場合は、編集者と一緒にアテンドし、現地でサイン会などを行います。

現在の国際ライツ業務のやりがいなどを教えてください。

担当する国の市場などは、小学館では自分がいちばんよくわかっているわけです。だからこそ社内のコンテンツをその国にどう紹介していくのか、自分自身で考えなければなりません。その意味で、比較的自分の判断が会社の業績に影響する仕事だと思っています。また、その国が絡む大きなプロジェクトがある場合、ライツ義務を担う国際事業センターの人間がそのまま担当になるケースもあり、いろいろなことができておもしろいです。たとえばタイでは、大手出版社4社(講談社・集英社・KADOKAWA・小学館)とアニメイトが共同で出資をしてバンコクにアニメイトの店舗をオープンしました。一緒にプロジェクトを進める中で他社の人たちと仲良くなり、同じ業界の横のつながりもできました。そのような仲間と日本のまんがという文化を世界に紹介していけるのは楽しい仕事です。

国際事業センターの業務を遂行するのに、英語など外国語の語学力はどの程度必要なのでしょうか?

語学力はあるに越したことはないですが、外国語がそんなに得意でなくても業務は遂行できます。理由は、出版エージェントという、業務遂行のアシストをしてくれる人たちが、海外の出版社との間に入ってくれますので、大半の通常業務は、大学の学士課程を修了している方でしたら問題なくこなせます。逆に、外国語、特に英語ができる方は、ミーティングや交渉の際には、当然、力を遺憾なく発揮いただけることと思います。

クロスメディア

他の出版社に比べて、小学館がクロスメディアで優れているところは?

映画ドラえもんはシリーズ第1作公開から40年を超えました。他社に先駆けてクロスメディアに取り組んできた歴史があり、ノウハウの蓄積や配給会社とのパートナーシップは他の出版社よりあると自負しています。また、各ターゲットにリーチできる自社媒体があるのも強みです。

コミックや小説が、アニメ化・ドラマ化・映画化されるプロセスについて教えてください。

テレビ局や映画会社やゲーム会社から企画の持ち込みがある場合もあれば、小学館側から自社作品を売り込んでアニメ化や実写化してもらう場合もあります。前者の場合、制作プロダクションや映画会社、テレビ局から編集部やクロスメディア事業センターに、映画化の企画が進んでいるか、実現の可能性があるかなどの問い合わせがあります。そこで作家、編集部の意向を聞いたうえで、企画を進めていいかどうかを判断するわけです。すでに企画が進行中だったり、作家がどうしても映画化したくないとか、コミックスの巻数が少ないので時期尚早であるとか、さまざまな理由で断ることもあります。またビジネスとして成り立つかどうか、ビジネスプランを持ち寄って検討します。そういったことをクリアして初めてGOサインが出され、映画の企画がスタートします。その後、製作委員会が立ち上がり、パートナー各社が決まり、映画公開に向けていろいろな取り組みが行われるわけです。

映像作品の製作委員会は、どんなことをしているのですか? また、小学館の役割は?

製作委員会は出資各社の決裁権のある人が参加する会議で、公開(放送)の数か月前から月イチくらいのペースで開催されることが多いです。公開(放送)時期、制作の進行状況、出資金の使用方法などを協議、共有します。その中で小学館は、出版物(紙・電子)の刊行や販促を通して、企画を盛り上げていきます。

コミックや小説の映像化の契約の際に、原作の世界観を守るために、どのようなことをしていますか?

著者の代理人として、制作会社や局・映画会社に対して、原作を使用した映像化の許諾に伴う交渉や契約を行います。
映像化にあたっては、著者の名誉や信用、原作の声価・イメージを損なわないことを明確に契約で規定します。また、企画提案書、プロット、脚本の提出を求め、著者の創作意図が尊重されているか、みだりに改変されていないかをつぶさに確認し、改変を希望する場合は事前に小学館を通して著者の承諾を必要とすることを徹底します。必ずしも原作そのままの再現を求めるわけではありませんが、少なくとも著者の意に沿わないまま進んでしまわないよう、編集部とも密に連携しています。

学生時代の経験で活きたことはなんですか?

インターネットがそれほど普及してない時代だったこともあり、とにかくたくさん小説・まんがを読み、映画を観ました。同じ作品に触れたとしても、若い時にしか感じられないこともあると思います。財産です!