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制作

制作という仕事に必要なものはなんですか?

制作に限ったことではないと思うのですが、「好奇心」につきると思います。制作に関する難しい知識はいくらでも勉強できますが、「これはどうやってつくっているんだろう?」と思える好奇心をもっていなければ、知識も身につきません。自社他社問わずいろいろな本をチェックしますし、本以外の商品(化粧品のパッケージや文具など)も自分が興味をもって、「どのように製造されているのか」と考えることは日々自然とやっています。

制作局では最初どのような仕事をすることになるのですか?

制作に限らず営業部門全般に言えることなのですが、仮配属終了後、すぐに担当を任されます。自分がその書籍や雑誌を取り仕切っていかなければなりません。打ち合わせをする相手は編集長であったり、出版キャリアの長い強者ばかりです。そんな人たちと対等に話をして、きちんと雑誌・書籍を世に出していかなくてはなりません。勉強しながら、最前線で働くことになります。とてもスリリングで責任も重大ですが、だからこそ楽しい、と本心から思っています。

制作として、どんな苦労があるのでしょうか?

まんがやドラマなどで出版社の仕事が描かれる場合、「原稿がなんとかあがった! ギリ間に合って良かった」といった描写がありますが、実際によくある話だったりします。何気なく書店店頭に並んでいる本でも、大変な苦労を経て並んでいるのです。編集部では、1ページ、1特集を必死に完成させるわけですが、我々制作は、完成した原稿を数万部~数十万部、もしくは100万部以上つくるのが仕事です。編集部とは大変さの質が異なりますが、実際にモノをつくり、発売日までに書店店頭もしくは読者に届けるということは、簡単なことではなく、いろいろな苦労があって実現しています。

制作という立場から見た、「良い本」とはどのようなものでしょうか

手に取って読みやすいこと、そして壊れにくいことです。本というものは一度読んで終わりではなく、長く保管し何度も繰り返し読むものですから、長持ちすることがとても大切だと考えています。

編集志望で入社したにもかかわらず、現在、制作の仕事をしていることに何か意図がありましたら教えてください。

編集者にとって制作の知識は必要不可欠だと私は考えています。1冊の本すべてを担う書籍編集はもちろん、チームプレーの雑誌編集でも1人ひとりがコスト意識や本ができ上がる仕組みなどについての理解を深める必要があります。極端な話をすれば、これから自分が出版物を世に送り出そうとするときに、何にどれだけのコストがかかるのか、どの部分にどんな紙を使うのがベストなのか、印刷・製本をどうするのかなどを理解したうえで企画・進行しなければ、本当にその本を「編集」したとは言えないのではないかと思います。当然、制作だけではなく、宣伝や販売などについても同じことが言えます。自分が担当した本はどのように宣伝したらいいのか、どのように販売したらいいのかなど、読者の手に届くまでのプロセスをトータルコーディネートできるのが理想です。編集は編集のことだけを考え、制作は制作のことだけ考えるというように狭い枠に留まるのではなく、1人ひとりが「出版人」として必要な多方面の知識を活用できればいいと思います。

販売

販売は、他の部署とどのように関わっていますか?

「これは売りたい!」という商品をいかに売り伸ばすか、作戦を立て遂行するのが販売の主たる業務の1つです。そのためには他部署とのコミュニケーションが欠かせません。編集と打ち合わせをして商品の「売り」を理解し、それを世の中にアピールするにはどのような手段が良いのか宣伝と作戦会議をし、実際に売れる匂いを感じたら制作と話をして速やかに重版ができる態勢を整えてもらいます。各部署との連携がうまくいくことで、効果的な作戦とともに適切な部数を世の中に送りこむことができ、結果ベストセラーに繋がると思っています。

どれくらいの仕事を同時進行されていますか?

販売では、大きなジャンル(雑誌・コミックス・書籍)ごとに担当部署があり、書籍の中でも児童書と一般書で担当が分かれます。書籍は、各販売担当が数百点の初版・重版の部数決定から売上予測、断裁などの業務を行います。また、2~3か月先の新刊タイトルの相談を受けつつ、フェアなどの販売促進業務については、半年以上先の予定も立てます。

販売は書店まわりなどをするのですか?

小学館PSというグループ会社の方々が中心になって全国の書店への営業をしています。あらかじめ、どのように営業して欲しいか打ち合わせをし、動いてもらっています。とはいえ、勉強のためにも仕事中に書店へ行くことはよくあります! この書店はイベント開催が強そう、カプセルトイの機械が置いてある……などさまざまなことを観察しています。

販売に向いている人はどんな人ですか?

良いところを見つけられる人。1冊でも多く売りたいと思える貪欲な人。本のプロデューサーのような仕事なのでプロデュース力がある人。

リアル書店とネット書店の販売的な売り方の違いはありますか?

当たり前ではありますが、物が手に入ることの付加価値をいかに読者に届けられるかかと思います。
現状デジタルはクーポン施策や広告施策が多いですが、リアル書店はそれに加えて、ノベルティなどをつけたりすることもできます。いかに読者が喜んでくれる形で読書体験を与えることができるか。しっかり考えていかなければなりません。

編集の人と違う目線はどんなところですか?

データに基づいて意見をするところです。「多分これくらい売れると思います!」という個人的な感情を挟むと、自分の感覚と世の中の感覚にギャップがあった場合、部数の設定を失敗してしまいます。マーケティング局はデータを集めるノウハウがあるので、それを最大限に生かし、分析し、編集に伝えます。数字やスケジュールを扱う縁の下の力持ちであることを忘れずに。

宣伝

「宣伝」の具体的な仕事内容を教えて下さい。

出版社の場合、本を作るまでが「編集」者の仕事で、できた書籍や雑誌を、いかに売っていくか、読者の手に届くまでの仕事を担うのがマーケティング局の業務です。その中で「宣伝」担当は、自分の担当雑誌・書籍・コミックスの読者層=ターゲットを定め、その人に向けてどうすれば、それらの本を買っていただけるか、その施策を立て、実施する仕事です。
具体的には、テレビCMや書店宣伝物の制作、デジタル広告、交通広告、イベントの仕掛け……などがあります。

宣伝物を製作する際、デザインの勉強などは必要でしょうか?またコピーは自分で考えるのでしょうか?

デザイン、コピーはデザイン事務所やフリーランスの方と一緒になって考えます。知識はあるにこしたことはないのでしょうが、なくても大丈夫です。自然と身につくので安心してください。

編集部と向き合ううえで大切なことは?

作品の担当編集は、作家と作品を守らなければならないため、こちら側が提案する施策に問題がないか厳しくチェックします。そこでNGや苦言が出た際、「口を出すな」「これでいいでしょ」というのはありえません。こちらも同じくらいの熱量で対応策を考え、説得する必要があります。

宣伝の仕事に必要なスキルはなんですか?

まずは担当を任されたレーベル、作品に愛情をもつこと。自分の読者としてのまんがの好みとは異なっていても、そのレーベル、作品の「魅力は何か?」を考えながら読むとどんな作品にも愛情がわきます。
そのうえで「自分の中で限界まで考えること」と「他者の意見に素直になること」を大事にしています。宣伝の仕事は、読者に届ける仕事。どんなに思い入れがあっても、読者(=出版社の外にいる人)に伝わらなければ意味がありません。これ以上はない!というほど自分の中で企画を練って、そのうえで届けたい相手のことを第一に考えて形にしていこうと心がけています。

宣伝の醍醐味は?

本来1であるはずの作品の売上を、やりようによっては100にも1000にもできるのが宣伝の仕事です。そのためには、作品に対する理解はもちろん、読者側の目線ももっていなければならないし、常に「この作品を100にするための効果的な施策はなんだろう」と考えていかなければなりません。簡単に言えば、「私の大好きなものをみんなに知ってもらい、読んでもらうためにはどうすればいいだろう?」と考えています。これはすごく楽しいことだと思っています。

宣伝の仕事で苦労することは?

雑誌の宣伝担当は、編集部に1人で対応しなくてはなりません。編集長からはときに過大な要求をされますが、当然、予算があるわけです。湯水のごとく宣伝費を遣うわけにはいきません。どのタイミングで、どのターゲットに、どのような媒体を選べばいいのか。最も効果のある方法を考え、提案することが求められます。また、コピーやデザインなど宣伝的観点から有効と思ったことを、編集長にはっきり主張しなければなりません。たとえ相手が大先輩であっても。

広告

広告局で活躍する人の共通点があれば教えてください。

1つだけ挙げるとすると、コミュニケーションを疎かにしない人だと思います。特に、相手に言いづらいことや、聞きづらいことから逃げないことが大事で、逃げずに曖昧な点を1つひとつ解消することが、結果的に、その後へ向けた信頼を得るうえでも大切なことだと日々実感しています。

読者と広告主の間で板挟みになることはないのですか?

確かに「こういうことをやりたい」というクライアントからの当初のリクエストが、読者の立場から考えるとどうなのか、というケースはあります。たとえば読者にとって押しつけになるような見せ方をすると、雑誌ブランドも広告主のブランドもマイナスイメージをもたれるので、全員にとってマイナスになってしまいます。ただ、こうした場合でも「板挟み」ではなく、読者・広告主・媒体の三者にとってよりよい見せ方にする余地があるので、丁寧に説明しWin-Win-Winに近づける提案をできるように心がけています。

タイアップ広告の場合、どのくらい広告局が誌面広告づくりに関わっているのですか?

基本的にタイアップ広告の制作は編集部が行います。編集部がつくることが価値であり、お金になるのです。ただ、広告の営業担当が何もせず売っているわけではなく、広告内容のプランニングに関わっています。クライアントの要望を汲み取って最適な広告手法や媒体を提案したり、見せ方を考えた料金提案などをするので、内容の入り口は広告営業が考えていると言えます。

広告局の仕事はチームプレーですか? 個人プレーですか?

基本的にはチームプレーです。1つの広告案件にクライアント、広告会社の皆さん、広告局、編集部、その先にいるカメラマン、スタイリスト、ヘアメイクなど、多くの人が関わっています。一方で、その中で単なる歯車にならず、企画をよりよくするための改善点や、今ある広告メニューでは応えられない新たなニーズにも応えられる企画を個人個人で考えることが求められます。

紙の雑誌とWebの広告売上の比率が変わると、紙の雑誌は不要になりますか?

それぞれ考え方があると思いますが、「紙の売上」「Webの売上」と分けること自体の意味が薄くなっていると考えています。広告の売上比率とは別に、紙があるから、Webがあるからもう一方も生きるという場面も多々あるので、ブランド全体の価値を高めてそれをお金に変える中で、紙の雑誌にできることはまだまだあると思います。