『CanCam』40周年 Special Interview
創刊40周年を迎えた『CanCam』。
“特盛な満足感”を提供するため、
常に進化し続ける存在でありたい――
対談メンバー
『CanCam』チームの皆さん
A.Y
女性メディア局CanCam
ブランド室
編集長(雑誌担当)
2004年入社
M.K
女性メディア局CanCam
ブランド室
編集長(Web担当)
2006年入社(経験者採用)
S.K
マーケティング局雑誌SP室
課長
1994年入社
40周年の節目を迎え、どのような取り組みが行われたのでしょうか?
『CanCam』は1981年11月に創刊され、2021年11月に40回目の誕生日を迎えました。「ありがとう♡創刊40周年!」と刻んだ記念号には『CanCam』史上最多の現役モデル13人が表紙に全員集合。渋谷駅に駅貼り広告を出すことも決まっていたので、特別感のある華やかな表紙にしたいと考えました。
また、アニバーサリーイヤーの皮切りとして、CanCamモデルズ13人が出演するイベント「CanCam 40th Birthday Night」を開催。13人がクイズや運動会で盛り上がる様子をYouTubeで生配信しました。配信を見てくださった皆さんからTwitterへ「楽しかった!」「モデルのみんなのハジけた姿がおもしろかった。もう1回やってほしい!」といったコメントをいただいて、誌面とはひと味違った、モデルの素の表情をお伝えできたかなと思っています。
40年の歴史を振り返ると、専属モデル同士がライバル心を燃やすような切磋琢磨の時代もありました。でも今のモデルは時代的にも競い合う感じがなくて、とても仲が良い。そのキャッキャした親密な関係性を、読者の皆さんもコンテンツのひとつとして楽しんでくださっています。運動会はモデルたちがずっとやりたいと言っていた企画だったので、本番へ向けてグループLINEを作って盛り上がっていたチームもありました。ファッションモデルらしからぬコテコテのスクールジャージもノリノリで着こなして、本気でゲームに体当たりする彼女たちの飾らない魅力が、見てくださった皆さんに伝わったと感じています。お祭り好きなタイプが揃っているのも歴代のCanCamモデルズの特徴なので、周年の節目にそのキャラを爆発させられたのは、モデルの歩みとしてもいい機会でした。
イベントの配信後にグッと販売部数も伸びて、「そんなにハジけちゃって大丈夫?」なんて心配はいらなかったですね(笑)。
とはいえ、どんな形でイベントをするかは悩みました。夏前に40周年企画の準備を始めて、まずはモデル全員の当日のスケジュールを押さえたものの、さてどうしよう……と。お祝いイベントは絶対にやりたいと思いましたが、私たちは編集長として初めてのイベントだったので、マーケティング局での経験が豊富なS・Kさんにたくさん相談しました。
ライバル誌と同様、過去には『CanCam』も人を集めるイベントをしていましたが、コロナ禍では有観客が難しいと考えました。人が集まらない配信イベントにするとしても、これまでひと通り女性誌でやり尽くされた感がある――。そうした制約の中で、どう“CanCamらしく”おもしろくできるか、ということを両編集長と考えましたね。
じゃあ、これまでファッション誌がやってこなかったバラエティー色の強いイベントをやってみましょうか、と。そこでモデルたちの特色を生かせて、彼女たちもやりたいと考えていた運動会もコンテンツに盛り込みました。
「CanCam40周年ときたら、きっとファッションショーとかだよね」という世の中の予想を裏切りたかったというのもあります。CanCamのブランドとして目指すのは“何かおもしろいことをしそうで、ちょっと気になる存在”。ファッション誌の基本形は守りつつも、常に意外なことを仕掛けて、「CanCamが何かしているから見なきゃ!」と、興味を引く存在になりたいと考えて雑誌を作っています。2017年の流行語大賞に「インスタ映え」が選ばれた際には、CanCamがプロデュースする「ナイトプール」が火付け役になったと評価されて、編集部へ表彰盾をいただきました。当時はインスタ映えの特集に力を入れており、スマホに付ける自撮りライトの付録もすごくバズったんです。これからもCanCam発信のブームをどんどん生み出していきたいです。
雑誌として40周年は、老舗と考えていいのかなと思います。この先50年、100年と歴史を重ねていけたら理想ですし、培った信頼感を強みに、老舗だから挑戦できる新しいことに取り組んでいきたいなと考えています。挑戦を怠らず、“常に進化し続ける存在”でありたい。ただし老舗の信頼感を損なうような挑戦は絶対にしません。私はWebの『CanCam.jp』で編集長をしていますが、判断は雑誌が基準です。言葉遣いひとつにしても雑誌を好きで読んでくれている皆さんの感覚から逸脱しないように心がけています。1日20本のペースでさまざまなジャンルのコンテンツをアップする中でも、「これはバズりそうだけどCanCamのカラーに合わない」と感じたら、迷わず採用を見送ります。アニバーサリーイヤーは始まったばかり。2022年11月までの1年間で、CanCamはまだまだ皆さんを驚かせますよ!
『CanCam』は40年の歴史でどのように変わりましたか?
『CanCam』は女子大生ブームの時代に『女性セブン』から派生して生まれ、雑誌名は「できる:Can」と「大学:Campus」を掛け合わせて、“キャンパスライフを思い切り楽しもう!”というメッセージが込められています。歴代最多41回の表紙を務めたエビちゃん(蛯原友里さん)が活躍した2000年代などを通じて、CanCamのテーマは「かわいい」のイメージが強いと思いますが、時代の気分に合わせて近年は「大人めなきれいなお姉さん」路線へシフトしました。“社会人になったらCanCam”を謳い、大学生から社会人になった20代の女の子を意識しています。
20代の若い読者層を考えると、紙の雑誌だけでは時代に乗り遅れてしまう。WebやYouTube動画にも力を入れて、多方面からCanCamのファンを増やす努力をしています。CanCam40年の伝統として、誌面もWebも動画も見た後に楽しい気持ちになれる満足度を大切にしています。ファッションがあって、美容があって、グルメがあって、流行りモノも、人気者もチェックできて……という、なんでもある特盛な満足感を提供することを、ブランドとしていつも心がけています。
50周年へ向けてCanCamでは、どんな人材を求めていますか?
40周年イベントを通して、“おもしろいことをして、みんなに楽しんでもらいたい!”という強い気持ちが、やりたいことを実現する突破口になることを実感しました。誰かを楽しませたいという、サービス精神が旺盛な人と一緒にCanCamを作りたいです。人を楽しませる前提として、まずは自分が楽しむことも欠かせません。そこに必要なのは楽しいこと、楽しませることを自ら見つけられる行動力。コロナ禍の学生生活でサークル活動も海外旅行も自由にできず、学生の皆さんは自分の世界が広がらない焦りがあるかもしれません。そんな制約のある中で小さなことでも何か、自分なりに考えて行動してみたことが自信に繋がるのではないかと思います。CanCamは紙の雑誌、ウェブ記事、動画、SNS、イベント、単行本など、多様なツールで世界観を届けています。あちこちアンテナを張って興味を持ったことを深掘りすることで、心ときめく“沼”に出会えるかもしれません。それが個性として、自分の強みになることもあると思います。
まずは行動してみることかな、と思います。SNSに強い世代として、InstagramでもTikTokでも肌感覚で使いこなしている人は編集部で即戦力になります。「友達がやっていたから、なんとなくわかります」という人よりも、実体験があって「できます!」と手を挙げられる人のほうが断然頼もしい。何事もまずは体験してみてほしいと思います。
そしてやっぱり、おもしろいことを見つける好奇心ですね。私が新入社員でCanCamへ配属された際、最初に任された仕事は「100人のバッグの中身」という企画でした。東京と大阪で50人ずつ集めて私物のバッグとその中身を紹介する企画でしたが、当時は写真がデジタルではなかったのでポジフィルムを1枚1枚ひたすら切り続け、ページができあがる頃には手にガングリオン(しこり)が!あぁ、編集者はこういう仕事なんだと思ったのを、覚えています(笑)。地道な作業も多く、締切に追われてつらいときもあります。そんなときに「今日はモデルに会えて嬉しかった」でも、「このピンチな感じ、ちょっとドラマの主人公ぽい」でもなんでもいいんです。どんな状況でもおもしろがって、仕事に“わくわく”を見つけられる人が強い。そんなタフさや柔軟性も、重要な資質だと思います。
そして、人が好きなこと。CanCamは常に大勢のモデルさん、ライターさん、スタッフさんと関わる仕事なので、コミュニケーションを楽しみながら広く人間関係を築ける人が向いていると思います。A・YさんとM・Kさんはとても気が合っていて、何をやるにもふたりで相談をして、こんなに仲の良い編集長コンビは他にいない。編集長というと孤高の存在で近寄りがたいイメージがあるかもしれませんが、CanCamの編集部はとても働きやすいと思います。
40周年記念号では “これまでも、これからも「きれいなお姉さん」 宣言!”
と謳っていました。これからの意気込みとして、編集長の宣言も聞かせてください。
「一生ミーハー」宣言! です。就活のエントリーシートにも取り柄はミーハーですと書いたのですが、ミーハーなことが編集者としての原動力になっています。仕事をしているとさまざまなことがありますが、ビックリするようなハプニングに遭遇したときにも「こんなことってある!?(笑)」と、ミーハーに楽しめる。これからもその好奇心を胸に、“わくわく”を求めて果敢にチャレンジして、おもしろがっていきたいと思います。
体が資本の仕事なので「一生健康」と悩みますが……、「一生下っ端」宣言! にします。30人ほどの編集者がいた一昔前の大所帯の編集部とは違って、今は男女あわせて9人。少ない人数で作っているのでやるべきことが多くて、編集長といえども、テンションとしては新入社員の頃とそんなに変わりません(笑)。でもそこが、おもしろさや刺激に繋がっている部分も大きい。いつまでも現場的感覚を忘れずに、笑顔で走り続けていきたいです。