第三コミック局 ビッグコミック

おかもと さとり岡本 吏莉(新入社員)

まんがが持っている力で、
世界中の人を驚かせたい。

プロフィール

昔からまんがが好きで、まんがに関わる仕事をしたくて就活に励むも、出版社は全滅。運良く拾ってくれた商社で1年半働くが、「やっぱり一度はまんがの編集者になりたい」と一念発起して転職活動を開始。縁あって小学館に転職。現在『ビッグコミック』編集部で、青年まんがを勉強中。まんがの他にもミュージカル、映画、小説、アイドル、声優と、割となんでも好きなミーハーな性格です。【好きなもの】チョコレート:酒でもタバコでもなく、チョコが止められないです⋯⋯。

まんがには、国境を越えて人の心を動かす力がある。

私は小学校時代、少し閉鎖的なアメリカの田舎町で過ごしました。その際、とある級友の「日本人って虫食べるの?」や「裸で過ごすの?」といった悪意ある質問に、ショックを受けた記憶があります。そんなことないと反論してみるも、軽くあしらわれてしまいました。そんな級友がある日、「将来絶対に、日本に移住したい」と言い始めました。彼女は高橋留美子先生の『犬夜叉』に夢中になり、その影響で日本を好きになったのです。私があれほど説明したのにまったく響かなかった彼女が、『犬夜叉』を読んで、180度日本に対する意識を変えたのです。私にとっても、彼女にとっても、衝撃的な体験でした。人の心を最も強く動かすのは、「おもしろい」「好き」「夢中になれる」といった、ワクワクする感情だと思います。人種、言葉、価値観⋯⋯バックグラウンドは違っても、そこは変わらないはずです。まんがは、それらの壁を越えて、人の心を動かす圧倒的な力を持っています。『犬夜叉』のように、世界中の人の心を動かすまんがをつくりたい。私や級友が感じた衝撃を、たくさんの人にも体験して欲しい。その想いから、出版社を目指しました。

  • デスクの上。追いつけず、読みかけの雑誌で溢れてます。

  • 実家から持ってきた『犬夜叉』。何10回も読みました。

心から好きで夢中になれるものを、仕事にしたいと思った。

小学館に入社する前、商社で1年半働いていました。その際思ったのは、「働く時間は長い」ということです。1日の大半を職場で過ごし、休みであるはずの土日も、気づけば仕事について考えてしまう。働く限り人生の大部分を仕事に費やしていくのだと、痛感しました。そう考えると、「どうせ人生を費やすのなら、自分が心から好きで、夢中になれるものがいい」という想いが、日に日に強くなっていきました。自分にとって、いちばん好きで夢中になったものはまんがでした。「一度は諦めた出版社⋯⋯でもやっぱりまんがの編集者にならなきゃ後悔する」と決心し、小学館に転職しました。同期が応援してくれて、面接練習にもつき合ってくれたのが、いい思い出です。当時の上司には、「好きを仕事にすると辛いよ」と言われました。私はまだ駆け出しなので月日は浅いですが、今のところ楽しいです。失敗して迷惑をかけたり、怒られたり、「おもしろいとは何なんだ⋯⋯」と哲学の迷宮に入ったり、上手くいかないことも多いです。それでもまんがが好きなので、楽しいと思えます。これから本当の大変さや辛さがやって来るかもしれないですが、まんがが好きな限り、乗り越えられると思います!

  • 『ビッグコミック』の創刊号と50周年記念号。

  • 新卒時代、前職の同期と。寮だったので、よく深夜まで面接練習につき合ってもらいました。今でも仲良しです。

一からヒット作を立ち上げたい!

編集部にはいろいろなタイプの先輩編集者がいます。「おもしろい」の好みから、仕事の進め方、作家さんとの信頼関係の築き方まで、千差万別です。打ち合わせに同席させてもらったり、お酒の席で経験談を聞かせてもらったりと、会話のすべてがまんがづくりの勉強になっています。どうやったら連載まで持っていけるのか、どうやったら作品はよりおもしろくなるのか、どうやったらヒット作になるのか、新人という肩書きを大いに活用して、先輩方の技や極意を盗みたいと思います。今年、2018年で創刊50周年を迎えた『ビッグコミック』。歴史と実績がある雑誌なだけあり、不朽の名作といわれるようなおもしろい作品を数多く輩出しています。それだけに、一からつくり上げた作品を本誌で連載させるのは、中々ハードルが高いと感じています。だからこそ、その高いハードルを越えて連載作品をヒットさせることができたら、この上ない喜びや感動が待っているはずです。ベテランの作家さんや先輩編集者から学びつつ、新人作家さんと次世代のヒット作をつくりたいです!

おもしろ層Q&A

Q.もし、小学館に入社していなかったら、何をしている?

A.前職の会社でそのまま働いていると思います。

Q.もし、遊園地に速すぎるジェットコースターと、
遅すぎる観覧車しかなかったら、どっちに乗る?

A.速すぎるジェットコースターです。何も考えられないぐらい、思いっきり振り回されたいです!

Q.もし、手に入るなら未来が読める能力と人の心が読める能力、どっち?

A.それに支配されてしまうので、どちらもいらないです。でも1000年後とかの遠い未来は見てみたいです!

Q.おもしろい(interesting)ことと、おもしろい(funny)こと、
今どっちを求めてる?

A.両方です! でも年々心から大笑いすることが減っている気がするので、funnyがよりほしいかも?

1日の仕事の流れ

  • 10時起床
  • 11時出社。メールチェック、まんが雑誌を読む
  • 14時記事ページのラフを切る
  • 15時デザイナーと打ち合わせ
  • 17時作家さんと打ち合わせ
  • 20時同期とご飯
  • 22時完成したまんがの原稿を製版所に入稿
  • 25時帰宅。録画したドラマやバラエティを見る
  • 27時就寝

発掘!おもしろ層

大掃除したら出てきた中学時代のiPod nano。10年ぶりに充電したら、再生できました! 曲のラインナップは、中二病感満載⋯⋯でも今聞いてもやっぱりいい。この頃の「好き」が、今の自分のルーツなのだと、自分を再発見できました。

3rd EYE サイト製作者は見た!

まんが孝行したい娘。

まんがの編集者になる。一度は諦めた子どもの頃からの夢をこの小学館で叶えた彼女。でも、大事なのは、そこから先ということも認めている。ネット書店やまんがアプリなど、今の世の中にはたくさんのまんがが溢れかえっている。いいものも悪いものも。それに、たくさんの娯楽があるなかで、まんがに対する読者の想いもマチマチだ。まんがを愛し、まんがと働くことを決心した彼女。「いっときの暇潰しで消費されるようなものでなく、何年経っても大好きでずっと本棚に大事に飾られる、残り続けるまんがをつくりたい」。そう口にした熱い言葉は、自分への約束。まんがへの恩返し。(by ネコ偏愛者・制作会社ディレクター)